東京電力管内の電力需要逼迫注意報と短い梅雨
直近でも同様の話題を取り上げましたが、早速電力需要逼迫注意報が発令されました。
6月27日、28日は乗り切りましたが、29日も引き続き継続して節電の呼びかけがされます。
過去にも取り上げている通り、背景としては
・火力発電が老朽化し一部停止しているなか2022年3月の福島県で発生した地震の影響でさらに停止をしていること。
そして、今回の事象の特徴として、
・梅雨が記録的な早さで明け、気温が35度を超え、エアコン等空調の電力需要が高まったこと。
となります。
東電、及び中電が出資するJERAは、この夏の電力需要逼迫に向け、一時休止中だった姉崎火力発電所5号機を7月に再稼働する予定だった所を繰り上げて27日から再稼働することを発表しています。
これにより予備率は3.1%から4.0%改善するとのことで、残りの停止中の火力発電所も急ぎ再開に向けて動いている様です。
再生可能エネルギーを早急に導入すべきという議論はありますが、再生可能エネルギによる発電はコストが高く、果たしてそれを受け入れられるかは疑問符。また気候が安定しているのであれば一定電力も安定的に得られますが、例えば太陽光であれば曇りや雨であれば発電ができなくなりますし、風力でも風が弱ければ、あるいは強すぎれば発電することができません。
このためにも電力をストック(電力としてではなく例えば水素などとしてでも)する仕組みがやはり必要となります。
これも一朝一夕ではできませんので、いま我々のできることとすれば、電気の使用を控えるくらいしかできません。それでも暑いので、クーラーとかは適切に使いましょう。
また、今回梅雨が記録的な早さで明けてしまいました。関東甲信では6月27日に明けたと見られると気象庁は発表していて、これは統計開始以降発最も早い記録とのこと。また梅雨の期間も21日間ということで、これも過去最も短い記録となります。
心配なのは水不足と酷暑による農作物への被害。この前の消費者物価指数の記事でも取り上げた通り生鮮野菜類が高騰をしている状況ですが、この農作物への被害も大きくなければよいのですが。。。。
ロシア国債がとうとうデフォルト
ロシアの外貨建国債の利払いが履行できないまま、30日間の支払い猶予期間が過ぎ、デフォルト状態となりました。
背景にはロシアのウクライナへの侵攻を受けて、各国の金融制裁を行ってきましたが、アメリカが国内の債権者に対して、利払いを受け取れる特例措置を先月末に終了させたことにより、ロシアは支払いを行おうとも受け取られない、という状況になっていました。このためデフォルトに至ったものですが、本来の利払いをする能力がなくデフォルトになるものとは背景が異なるものになります。
ロシア側は、外貨建ての国債の利払いをルーブルで行っても、債務履行したとみなす大統領令をプーチン大統領が署名を行い、ルーブルによる支払いを行うとしています。
つまり、お金を貸りた側が返そうとしているのに、貸した側が受け取りを拒否しているという構図になります。
債券については素人ですので、浅はかな考えによるとですが、今回のデフォルトの認定によって何が起こるのかよくわかっていません。
すでに経済制裁を行っている現状下において、EU諸国やアメリカなどの西側諸国が新たにロシア国債を引き受けることはないものと思われます。その中で、デフォルト認定されても、特に何かが代わるというものではないと思います。強いて言うなら、デフォルト認定をされることで支払い要件にしている保証会社や保険会社などが、債権者に救済をする、といったことはあるのかもしれませんが。。。
日経の記事から引用すると、
同国に進出する欧州系銀行のエコノミストによると、ロシアの外貨建て国債の債務は2021年末時点で国内総生産(GDP)比2%と小さい。「原油価格が現在の水準で推移すると仮定すれば、ロシア政府は22年の支出を賄うために(国債など)新たな借金を抱える必要は無い」とみる。
ということであり、そうなると影響は非常に限られてくるのではないでしょうか。
今回のデフォルトを受けて、ドルとルーブルの交換レートを見ても、特に大きなインパクトは見て取れません。今回のデフォルトはやはりなるべくしてなっているということでしょうか。
消費者物価指数2022年5月の発表
2022年5月の消費者物価指数を詳しく見ていきます
2022年5月の総合指数は前年同月比2.41%のプラスでした。
価格変動の大きい生鮮食品を除いた総合指数で見ても前年同月比で2.11%のプラス。これは2022年4月よりも0.20%プラスの数値となります。
内訳を見てみると、上図の通り。2021年5月と比べ、食料、光熱・水道、家具・家事用品が目立って上昇していることがわかります。これら項目については、前月(2022年4月)と比べてもさらに上昇しています。
さらに細かな項目で特徴的なものを拾って見てみると食品では、
生鮮食品が前年から大きく上昇しています。生鮮野菜はやや改善傾向にあります。調味料や菓子類、外食については、ニュース等でも頻繁に値上げが取り上げられていますが、その影響を大きく受けている様です。
光熱・水道では、
エネルギー系が前年同月比で大きく上昇しています。電気代、ガス代は前月比ではさらに上昇をしています。一方、他の光熱は、例えば灯油が該当するのですが、前月比では下がっています。
家具・家事用品は、
家庭用耐久財が前月比でも大きく上昇しているのが特徴的に思いました。家庭用耐久財は家電製品や家具が該当するのですが、このうち大きく上昇したのが、ルームエアコンです。エアコンについては、半導体不足等で品薄が続いているというニュースも出てきていて、価格が高騰している様です。
前月発表のものから傾向は大きく違いはありませんが、食品やエネルギー関連のコストがさらに上昇しています。これらの項目は所得の多い少ないに関わらず必要なものであり、その観点から言えば、所得が少ない家庭ほど影響を受けやすいと言えます。
前の記事で衆議院選挙の争点の一つと書きましたが、我々の生活に直結する部分。どの様な対応が考えられているかはよく着目していきたいものです。
三井住友フィナンシャルグループとSBIホールディングスの資本提携について
三井住友フィナンシャルグループが、SBIホールディングスと資本提携を行う旨の報道がでています。大手金融グループとネット証券会社の提携ということで、今後の展開が注目されます。
みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行の3行がメガバンクと呼ばれますが、それぞれの銀行を中核とする金融持株会社がみずほフィナンシャルグループ、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループです。
各社、様々な金融サービスを営む企業を傘下に持っていますが、いわゆるネット証券を持っているのはauカブコム証券を傘下に持つ三菱UFJフィナンシャル・グループのみとなります。
ネット証券といえば、SBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券、auカブコム証券が主要企業ですが、auカブコム証券を除いてそれぞれが自身を中核企業とする金融持株会社を形成しているイメージです。(松井証券だけ単体です)
当然に今回の資本提携の目的としては、三井住友フィナンシャルグループにおける証券インフラの強化と思われます。
こちらのニュースを参照すると、
グループの垣根を越えて銀行や証券、クレジットカードなどのサービスをアプリ上で一体的に提供する。
としていて、実現すれば大規模な金融プラットフォームとなるアプリとなりそうです。
もともと現在SBI証券の積立投資を三井住友カードを通じて実施することでポイントが付与される様になっています。これら囲い込みによる連携が広がっていき、お得に便利になるとよいですね。
◯SBIホールディングスへの市場の反応
今回、企業から発表があったのが23日の大引けの後でしたが、翌営業日である24日の株価は前日終値から72円(2.8%)上昇しました。報道が漏れたのが21日で、22日も大きく値を上げて始まっていました。
◯三井住友フィナンシャルグループへの市場の反応
三井住友フィナンシャルグループも24日は前営業日比35円(0.9%)上昇しました。こちらはそもそもの時価総額が大きいので反応が緩いということなのでしょうか。
いずれにも、今回の提携は両者のホルダーにとって好意的に捉えられているようです。
東芝の非公開化についての続報
分割案が株主の同意を得られず、再建に向けた動きを新たに検討していた東芝ですが、続報が入ってきていますので、今回はそちらの内容です。
ちなみに、過去の分割案の臨時株主総会についての記事はこちらです。
さて、分割案が否決され、その臨時総会の議論の場でもあったといわれる株式の非公開化、つまり株式をすべて買い取り、上場を廃止するという方向性も含めて検討されることになります。
そして、6月22日夜に非公開化についての報道されました。上記日本経済新聞社のニュースを参照すると、経営再建案を募集した東芝に対して、10件の提案があり、うち8件が非上場化についての提案。そのうち1社が最大1株7,000円での買い取りを検討しているとのことです。
この報道が出る前の東芝の株価は、おおよそ5,500円前後でしたから、もし7,000円での買い取りが実現するのであれば、27.3%ほどのプレミアムがついていることになります。こうなると、東芝は人気がでてくることになります。
東芝はこの1ヶ月下降トレンドでしたが、今回の報道を受け、6月23日は始値5,830円をつけました。前日終値5,501円に対して、329円約6.0%の上昇となりました。
その後は売り圧力が強く終値としては5,696円で着地しています。
上では7,000円で買い取りを行うということでしたが、今の段階で株価が7,000円に収束されていくわけではありません。
なぜなら、この買い取りが決定されたわけではありません。10個の提案の中の一つの案でしかありませんし、買い取り価格の情報しかありませんから、これ以外の案に決定される可能性もあります。
今後まだどの様な対応がされるか、見ていきたいと思います。
節電ポイントについて〜TEPCOのキャンペーン〜
今年の夏や冬は電力が需要逼迫すると言われています。
過去記事に詳しく記載しましたが、改めて簡単に説明をすると、
・今年3月に福島を中心とする地震が発生。複数の火力発電所が停止。
といった事態が発生し、日本の発電能力が低下していることが背景にあります。
そのような中で、特に電力需要の高まる夏、冬について、家庭や企業へ電力の節約を呼びかけています。6月21日に岸田首相が発表したのが、『利用効率化に応じて、幅広く利用できるポイントを付与する制度を作る』という制度。ニュースでは節電ポイントと呼んでいます。
東京電力は今年の夏に向けて、節電を呼びかけるキャンペーンを始めています。「夏の節電チャレンジ2022」として、節電量等に応じた節電ポイントをプレゼントすることをすでに始めています。
夏の節電チャレンジ 2022|でんきの省エネ術|東京電力エナジーパートナー株式会社
キャンペーン申込み期間は2022年6月8日から2022年9月30日で、毎月20日までの申込みで翌月1日からチャレンジがスタートします。
お客さまごとの標準的な使用量から実際の使用量を差し引いた残りの値を節電量として定義します。標準的な使用量から0.01kWh以上削減できた場合に成功となります。標準的な使用量は、お客さまごとの過去の電気の使用状況を活用し、「エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネスに関するガイドライン」(資源エネルギー庁・令和2年6月1日最終改定)に基づき算定します。
つまり、過去の使用量から算出した表示値に対して、実際の使用量がいくら節電できたか、を算定し、節電量1kWhあたり5節電ポイントを付与。0.01kWh以上を初めて節電した時点でボーナス100節電ポイントを付与するとなっています。
1節電ポイント=1くらしTEPCOポイント、1くらしTEPCOポイントはTポイントやPonta、WAONなどと交換でき1ポイント=1円相当となります。
電気料金の推移を見る際のモデルケースでは月に260kWhですから、仮に1割の電気使用量を節電できたとして、26kWhの節電。そうすると130節電ポイント=130円相当ということになります。
多いと思うのでしょうか、少ないと思うでしょうか。
物価高への対策について
7月10日投開票日の参議院が、22日に公示されました。参院選は3年ごとに議席の半数を改選する仕組みとなっておりますので、与党はすでに自民党、公明党をあわせて69議席が非改選で保有しているため、改選定数124議席のうち、56議席を取れば非改選をあわせて過半数を超えることになります。
さて、国が変わりますがフランスでも先日6月19日に国民議会選挙が行われ、マクロン大統領が率いる与党勢がそれまでの350議席から246議席と大きく議席を減らして、過半数に届かず苦戦したという報道がありました。
背景の一つとして、物価高が挙られているのですが、これは日本でも同様の課題であり、日本の参議院選挙での大きな争点の一つとなります。
上記リンクを参照すると、各党の物価高対策は以下の通りとなります。
自由民主党:最低賃金の引き上げ。燃油価格の激変緩和策の継続。
立憲民主党:消費税5%へ引き下げ。トリガー条項発動。
日本維新の会:消費税減税、ガソリン税減税、中小企業減税など。
国民民主党:消費税5%へ引き下げ。インフレ手当10万円給付。
日本共産党:消費税5%へ引き下げ。大企業の内部留保への課税。
れいわ新選組:消費税廃止、ガソリン勢廃止、季節ごとに10万円給付。
野党は消費税の減税による国民負担を抑えていくことを公約としています。
日本の物価は現在昨年比約2%ですが、この水準であれば現行の消費税8%(軽減税率適用後)が5%になることで、物価上昇分を吸収することができるようになります。
ただし、これは消費者物価指数が2%であればという前提であり、仮に欧米の様に8%に達すれば消費税をさらに引き下げる必要がでてきます。消費税を含めた見積もりや領収のシステム的に組んでいる場合ですと修正は容易ではなく、早急に引き下げが可能なのか疑問です。
そう考えると、物価高分に相当する金額の現金支給がよいのではないかと考えてしまいます。
厚労省の発表した以下の資料を見てみます。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/dl/03.pdf
例えば日本の階級別世帯の年収中央値が437万円です。この世帯が仮に貯蓄ができない世帯、つまり収入=支出とすれば、年間支出額437万円となります。
これが2%の物価が上がれば、年間8.74万円の支出が増えることになりますので、1世帯9万円支給すれば、日本の過半の世帯を物価高から守ることができるといえるのだと思います。
年収が高い世帯は支出も多いはずなので、物価高を完全にカバーすることはできませんが、一律支給であれば累進性の観点からはOKとしてよいでしょう。