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カーボンニュートラルについて〜原子力産業〜

「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」14分野の4つめ「原子力産業」。

 

原子力発電の是非はこのブログの主題ではありませんが、現在の技術力では風力発電太陽光発電等の自然エネルギーの発電方式ではお天気次第で電気の出力は不安定になるということもあり、二酸化炭素排出量の削減を優先するために火力発電を除いて安定的に電気を供給するためには、原子力発電を今すぐ完全撤廃することはむずかしいのではないかと思っています。そのためにも安全性の向上は重要でしょう。

「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」では、3つの目標を掲載しています。

 

①2030年までに国際連携による小型モジュール炉技術の実証

②2030年までに高温ガス炉における水素製造に係る要素技術確立

ITER計画等の国際連携を通じた核融合R&Dの着実な推進

 

①小型モジュール炉(SMR)

体積の割に表面積が大きくなるため、大型の原子炉よりも温度が冷えやすいことで安全性が高く、また構造がシンプルなのでコストも削減ができるといった特徴の原子炉。現状では海外での実証プロジェクトが進行中とのことで、連携している日本企業の取り組みを支援していくとしています。

 

②高温ガス炉

高温ガス炉により原子力発電で生じる高温の熱を再利用することで、効率的に活用をすることができる様です。この熱を使って水素製造を目指しているとのこと。水素自体は二酸化炭素を排出しないエネルギーですが、水素の生産にはエネルギーが必要です。このエネルギーを二酸化炭素を排出しないエネルギーで製造するしないとカーボンフリーな水素エネルギーとはいえません。日本においては世界最高温度980℃での50日間の高温連続運転の実証は終わっている段階で、これをカーボンフリー水素製造に必要な技術開発を支援していき、加えて海外に先行しているメリットから、日本の規格基準を世界標準とできるよう、推進していくとしています。

 

核融合

核融合炉も、高温ガス炉と同じく、発生する高温から熱利用、水素製造を行う技術を目指しています。日本企業で核融合実験炉で用いる超電導トロイダル磁場コイル等の主要機器を製造している。大型卜マカク装置を使用したプラズマ制御の高度化に向けた試験を実施、その他技術の開発研究が進められていて、今後も推進していくとのことです。

 

ここからは、原子力産業に関連する日本企業をみていきます。

 

日立GEニュークリア・エナジー

日立製作所とゼネラルエレクトリックと合弁会社。小型モジュール炉を開発。

 

三菱重工

高温ガス炉での多目的利用に向けた水素製造技術、ヘリウムガスタービン発電技術の開発。上記トロイダル磁場コイルの製造。

 

日揮

小型モジュール原子炉開発のNuScalePower社へ出資。