まなびの『び』

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カーボンニュートラルについて〜半導体・情報通信産業〜

「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」14分野の6つめ「半導体情報通信産業」。

 

今後カーボンニュートラルが取り組まれる未来は、今よりも更にデジタル化が進んだ世界になります。このため、デジタル化を進めていくかにあたり、カーボンニュートラルにどのような影響ががあるか整理していきます。

 

①デジタル化によるエネルギー需要の効率化・省CO2化(グリーンbyデジタル)

「デジタル化の進展は、人・物・金の流れの最適化が進むことなどを通じ、エネルギーの効率的な利用・省CO2化にもつながる」とあり、例として「テレワーク、オンライン会議による移動にともなうエネルギーを削減することができる」と挙げています。コロナ禍によりテレワークを始める企業もあり働き方の変革が進められている中で、今後のデジタルトランスフォーメーションはますます進んでいくものと思われます。

「デジタル社会における心臓」と表現しているデータセンターは、全体の40%が2000年代に建てられえているということで、「建て替え需要が発生する」としています。以前、LINEが海外のデータセンターにユーザー情報を保管していたと問題視されることもありましたが、安全保障の面からも国内のデータセンターの整備は必要です。そのためにも「①電力コストが高い②効率的な脱炭素電力の購入が困難③大規模なエネルギー需要の場合、電力インフラへの接続に年単位の時間を要する」といった、日本におけるクリーンなデータセンターの設置への課題となります。

今後の取り組みとして脱炭素電力購入の円滑化を進めるため」に「非化石価値取引市場などの制度の在り方の検討を進める。国内のデータセンター設備・機器の国内企業の競争力強化、機器導入の支援を進めるとしています。

また、保管場所であるデータセンターの整備だけではなく、それらデータを利用するためには、情報通信インフラの強化も必要ですので、5Gの情報通信インフラの早期整備とともに、beyond 5G(5Gの次世代の通信技術)の研究開発の取り組みも進めていくとしています。

 

②デジタル機器・産業の省エネ・グリーン化(グリーンofデジタル)

電化、デジタル化が進むことで、デジタル関連の消費電力が増加するので、電気機器、データセンターや通信ネットワークでのさらなる省エネ化や再エネ利活用等の省CO2化を促進することが重要です。

「パワー半導体、メモリ、半導体、光エレクトロニクス、ソフトウェアの分野では、省エネ化・高性能化に向けた投資、研究開発競争が激化している。」としていますが、最近ではアメリカのAppleが、製造サプライチェーンも含めて2030年までにカーボンニュートラルを目指すと発表しており、出遅れると大きな市場から撤退せざるを得なくなるおそれもあります。

パワー半導体は国内企業で世界シェア29%と日本企業が強みを持っている分野とのことで、超高効率の次世代パワー半導体の実用化に向けて研究開発視点、導入促進のための半導体サプライチェーンの設備投資支援を実施するとしています。

また、2030年までに全ての新設データセンターの30%以上の省エネ化、国内データセンターの使用電力の一部の再エネ化を目指すとしており、半導体情報通信産業は2040年のカーボンニュートラル実現を目指すとしています。

 

ここからは、半導体情報通信産業に関連する日本企業をみていきます。

 

富士通

2022年までに提供するクラウドサービス「FJcloud」の運用に必要な電力を100%再生可能エネルギーとする。

 

◯NTT・KDDISoftbank

各社beyond5G/6Gのコンセプト、将来像等を公表。

 

三菱電機

シャープから買い取った半導体工場を2021年11月から稼働。パワー半導体の開発を行う。