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カーボンニュートラルについて〜カーボンリサイクル産業〜

「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」14分野の11番目「カーボンリサイクル産業」。二酸化炭素の排出を削減するではなく、二酸化炭素を資源として活用することで減らしていくという分野ですので、非常に重要なテーマとなります。①CO2吸収型コンクリートバイオ燃料③化学品④CO2分離回収設備に分けて記載されています。

 

①CO2吸収型コンクリート

製造時にセメントの替わりに特殊な混和材を使って二酸化炭素を吸収して硬化させる技術で、『日本には、CO2吸収型コンクリートを実用化することに成功している企業がいる。』と記載されています。すでに実用化できる状況にはあるもののコストが高く、また内部の鉄骨が錆びやすいため、現状では建築物には使用できないなどのデメリットがあるという状況の用です。

コストについては、2030年までに既存コンクリートと同価格を目指すために、公共調達によって販路を拡大。地方自治体での周知と大阪万博でも導入するとしています。また、2050年までには防錆性能を持たせて、建築物、コンクリートブロックに用途を拡大していき、民間部門でも需要拡大を検討するとしています。

 

②燃料

藻類の培養からバイオジェット燃料を生産する技術です。実証レベルではあるものの、藻がCO2を吸収する効率が低いこと、藻の耐性が低いことにより安定的に生産ができないといった課題があるようです。これら課題を解消し、2030年頃までにはコストを既製品と同等レベルまで低減、実用化を目指すとしています。

 

③化学品

光触媒を用いて太陽光によって水から水素を分離し、水素とCO2を組み合わせてプラスチック原料を製造する人工光合成の技術は、日本企業のみが開発中である。』と、日本に優位な状況の様です。開発を進めるために必要な法規制の緩和の検討を進めていくとしています。

 

④分離回収設備

発電所から排出される二酸化炭素を分離、回収する技術です。回収した二酸化炭素は、上記の二酸化炭素を活用する技術で、使用します。これも日本はトップシェアを確保しているとのことで、日本はこれら二酸化炭素のリサイクル技術には強みをもっていることがわかります。

 

 

ここからは、カーボンリサイクル産業に関連する日本企業をみていきます。

 

鹿島建設

環境配慮型コンクリート「CO2-SUICOM」を開発。

 

ユーグレナ

ユーグレナ社のサステオジェット燃料を製造。民間飛行機で初の実証実験。

 

三菱ケミカル富士フィルム

水分解光触媒を利用して、太陽光による水素製造と分離回収の実証実験に成功。

今後、この水素と二酸化炭素を反応させ、科学原料の製造を目指す。

 

三菱重工業

二酸化炭素回収技術プラントを13ヵ所で稼働中。