まなびの『び』

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東証市場再編について

これまで東証は上場基準が異なる、「東証市場1部」「東証市場2部」「マザーズ」「JASDAQ」という4つの市場区分がありました。これが2022年4月から「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」という3つの市場区分に変更になります。

市場区分見直しの概要 | 日本取引所グループ

 

新市場を分けるキーワードとしては、「流動性」と「ガバナンス」があります。基準を見てみると次の通りです。

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この市場再編で何が起こるか、事例を見てみます。

◯ゆうちょ銀行

 ゆうちょ銀行は郵政民営化により旧日本郵政公社から郵便貯金事業が銀行業として設立した日本郵政株式会社の子会社です。誰もが知る企業で銀行業として見ても総資産額はメガバンクに肩を並べる企業ではありますが、実はゆうちょ銀行はプライム市場の基準に達していません。何がNGかというと、流通株式比率です。

 11月12日にゆうちょ銀行から公表されている「新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書」によると、移行基準日(2021年6月30日)において、流通比率は8.8%となります。ゆうちょ銀行の発行済株式のうち、89%が日本郵政株式会社が保有しています。

 既に上場している企業においては、どの市場に移行するか選択することができ、ゆうちょ銀行はプライム市場を選択することを発表していあすが、経過措置として、基準に満たしていなくれもプライム市場に上場できますが、基準を満たす様、改善していく必要があります。

 つまり、日本郵政がゆうちょ銀行の株を手放さなければ、プライムどころかグロースの上場維持基準にも満たせず、上場廃止になってしまうことになります。ということで、先の「新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書」において、できる限り早期に日本郵政がゆうちょ銀行の株式を処分することを記載しています。

 このように東証再編により親会社が子会社の株式を手放さなければ上場維持できないといったケースが発生します。こうなると、親会社も子会社も上場している様な親子上場の場合だと、子会社の上場を廃止するといった選択肢もありえます。しばらくの間は経過措置ということですが、各社がどのような戦略で上場基準を満たしていくのか、注目です。