企業物価指数が41年ぶりの上昇率と家計への影響の考察
2021年11月の企業物価指数が前年同月比9.0%上昇、これがオイルショックの1980年以来、というニュースがありました。中身を実際に見ていこうと思います。
企業物価指数は日本銀行のHPに掲載されています。リンクは以下の通りです。
さて、実際に中身を見ていると、さらに名目別に掲載されています。
特に前年同月比が大きいのを並べて見ると次の通りです。
木材・木製品 +58.9%
化学製品 +14.1%
石油・石炭製品 +49.3%
鉄鋼 +23.9%
非鉄金属 +32.8%
さらに、需要段階別の指数を見ていると、素材材料の輸入品が前年同月比+107.8%となっています。つまり海外から輸入している原材料が非常に高くなっていて、これが原因で様々な物の価格が上がっています。
日本は消費者物価指数、つまり家庭向けには値上げされにくいとされていますが、それでも既にいくつか影響が出始めています。ここ1ヶ月の日経新聞のニュースを拾ってみても、
◯キッコーマン しょうゆ・豆乳製品
◯アヲハタ 家庭様ジャム
◯日本水産 すり身製品、冷凍食品
すり身製品・冷食、1~13%値上げ 日水が来年2月から: 日本経済新聞
◯紀文食品 魚肉練り製品、惣菜製品
◯電力会社・ガス会社 複数社 電気・ガス料金
◯はごろもフーズ コーン・パスタ製品
はごろも、35品目値上げ 来年2月、コーンやパスタ: 日本経済新聞
サントリースピリッツ、ウイスキーを5~28%値上げ: 日本経済新聞
◯マルハニチロ 冷凍食品
◯味の素 鶏肉加工品
◯キューピー マヨネーズ・ドレッシング ◯日本ハム ソーセージ
◯ニップン 冷凍食品
ニップン、家庭用冷凍食品を5~12%値上げ 61品目対象: 日本経済新聞
◯伊藤ハム ハム・ソーセージ
◯日清食品 チルド麺、冷凍麺
家庭用ということで、どうしても食品ばかりになってしまうのですが、ニュースになっているものだけでもかなり多いことがわかります。食品原材料自体の高騰もですが、ビニールのパッケージなども背景になっている様子。
今、この様にニュースに取り上げられているのはどちらかというと、いいことだと私は思っています。値上げが仕方ないことだと民間の意識の中に刷り込みがされて、他の企業も値上げに踏み込みやすいからです。今回は鋼材メーカーや化学メーカーなど中間メーカーの値上げも報道されている様に見えていますが、値上げ背景がわかりやすいのでしっかりと交渉できると良いですね。
この傾向が続くもかかわらず人件費も上げられないとなると、日本人の生活はかなり苦しい状況になってしまいます。重要なのはここで値上げを思い切って実現し、この値上げ分が人件費に還元すること。あわせて、生産効率を上げること。
今回のピンチが、ある意味、日本が変われるチャンスになりえるのではないかと考えています。