まなびの『び』

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洋上風力発電の3地域の事業者が決定

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日本における脱炭素の鍵を握る洋上風力発電の開発。「秋田県能代市三種町及び男鹿市沖」、「秋田県由利本荘市沖」、「千葉県銚子市沖」の3地域について、経済産業省国土交通省は発電事業者公募を行っていましたが、24日に事業者の選定結果を公表し、いずれの地域も三菱商事を中心とするコンソーシアム(共同事業体)が選定されました。

 

◯洋上風力発電の利点

洋上風力発電については、以前記事を書いています。

manabinobi.hatenablog.com

上記事でも触れていますが、改めて洋上風力発電を設置する意義を考えると、

①日本の排他的経済水域が広域であること。

 日本の排他的経済水域は世界で第6位と、島国の利点を活かすことができます。日本の場合は国土に山地が多く、大規模な陸上風力発電所太陽光発電所を設置しようとすると、森林を伐採し土地を造成した上で設置する必要がでてきます。このため、土砂災害の発生リスクが高まります。

②安定した発電能力を持つ。

 風力発電のエネルギー源となる風は、陸上では地表から抵抗を受ける一方、洋上では安定して強い風が吹きやすいといった特徴があります。また、夜間にも発電ができるため、太陽光発電の弱点を補えるメリットもあります。

 

◯洋上風力発電の出力

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秋田県由利本荘市沖は3つの地域の中でも最も面積の広い区域でもありますが、発電出力も大きく81.90万kW(1.26万kWの発電機を65基を設置)となっています。

 

この出力規模がどれだけ大きいかと比較するために、日本最大級の風力発電所を見てみます。日本最大の風力発電所は、三重県津市と伊賀市に跨る「青山高原ウインドファーム」(http://www.awf.co.jp/)で、その出力は9.50 万kW。「一般家庭約5.5万世帯の電力を賄うことができる」とされています。

単純に今回の洋上風力発電3地域の出力の合計は168.84万kWで、青山ウインドファームの約17.8倍、97.7万世帯の一般家庭の電力を発電できることになります。おおよそですが、宮城県の世帯数が約102.4万世帯ですので、これだけ大規模な発電所の設置計画がスタートすることになります。