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国内で新たなガス田の開発と日本のエネルギー自給率

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株式会社INPEXが島根・山口県沖にて天然ガスの試掘を行うと発表しました。今回は日本のエネルギー自給率について調べてみました。

 

INPEX社の石油・天然ガス生産について

日本は資源に乏しい国と言われていますがゼロではなく、わずかですが国内で石油や天然ガスなどを採掘しています。

INPEXのHPの事業案内を見ると、国内の油田としては、秋田県八橋油田が、国内のガス田では、新潟県南長岡ガス田、千葉県の成東ガス田が掲載されています。INPEXがパイプラインを引いていて、南長岡ガス田から青梅市御殿場市(そこから他社も含めたパイプラインも通じて清水市まで)など関東北信越静岡県に提供をしています。

 

◯日本のエネルギー自給率について

しかしながら、資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」によると国内のエネルギー自給率は2018年で11.8%です。このエネルギー自給率は、石油、天然ガス、石炭、原子力、太陽光、風力などのエネルギーについて国内由来かどうかで見ています。日本は繰り返しになりますが資源に乏しく、化石燃料のほとんどが海外から輸入をしていますし、東日本大震災以来、原子力発電所の運用を止めていますから、どうしても自給率は低くなります。

原子力のウラン燃料は海外から輸入をしていますが、国内工場で使用済み燃料の再処理し、再度エネルギーを生産するため、一部国内のエネルギー自給率を引き上げる効果があります。

 

◯エネルギー自給率が低いとどうなるか。

上記のように日本のエネルギー自給率が低いのは事実となりますが、低いとどの様な影響があるのでしょうか。

最も身近な影響としては、円安となった際に輸入コストが高くなり、エネルギーコストが上がるという影響です。昨年10月ごろから原油価格は上がり始め、ガソリン代や電気料金が上昇し、また企業のコスト増が転嫁され食料品等、様々なものの値上げがされています。

また、化石燃料の獲得競争が発生した場合に日本が戦えるのかという課題。資源生産国が生産を制限している際に、より高い金額を出しても自国が買い取るという国があった場合に、日本が対抗して高い金額を出せるかどうかです。日本が獲得競争に負けると、電力不足に陥る可能性もあります。この様な事態にならないためにも国際競争力を高める必要性があります。この様に日本の安全保障上もエネルギー自給率を挙げることは重要です。

 

◯エネルギー自給率を高めるためには?

資源が乏しい日本がエネルギー自給率を挙げるためには、やはり再生可能エネルギーに頼らなければなりません。水力、太陽光、風力が代表的ですが、それでもこれら自然エネルギーは天候に左右されることも考えなければなりません。仮に自然エネルギー100%であれば、今年は水不足なので水力発電所が使えません、日照不足で太陽光発電ができません、といった事態になりかねません。その点、火力発電は天候に左右されず、エネルギーの発電調整がしやすい利点があります。

気候の変化が激しい日本では、安定した自然エネルギーの確保も難しく、火力発電をなくすわけには行きませんが、大事なのはバランスです。

火力でありながらエネルギー自給率を高めるためには、国内の化石燃料採掘を増やすか、水素やアンモニアなどの国内生産可能な形での燃料を開発するか、ということになります。というわけで、今回のガス田の試掘がうまく進み、日本のエネルギー自給に貢献してくれると嬉しいです。