楽天証券のクレジットカード積立の改悪
「楽天証券で投資信託に積立をしているユーザーには、悲しいお知らせです。楽天証券では投資信託の積立の際、決済方法で楽天カードを選択することができ、このときに楽天ポイントが付与される仕組みになっているのですが、今回このポイント還元が改悪されることが発表されました。
◯クレジットカード決済のポイント還元の変更内容
現在の還元率
100円につき1ポイント(還元率1.0%)
2022年9月以降のクレジットカード積立
ファンドの信託報酬のうち販売会社が受け取る手数料(代行手数料)が、
①年率0.4%以上の場合 100円につき1ポイント(還元率1.0%)
②年率0.4%未満の場合 500円につき1ポイント(還元率0.2%)
①の場合であれば変わりませんが、②の場合は5分の1まで減額してしまいます。これは、クレカ決済ができる上限の5万円の場合、これまでは500円分のポイントがついていたところ、100円分のポイントしかつかなくなるということです。年間にすると4,800円分となります。
リスクを取りたくないので金融商品はちょっと。。。と考えている方でも、リスクが非常に小さい日本の債権型の投資信託をクレカ決済で積み立てることで、このポイント分も含めれば、ほぼノーリスクで銀行に預けられるよりも高い収益が得られるという裏技的な話もあるのですが、それもさすがに0.2%だときつくなってきます。
◯ファンドの信託報酬のうち販売会社が受け取る手数料(代行手数料)とは?
還元率を分ける「ファンドの信託報酬のうち販売会社が受け取る手数料(代行手数料)」とはなんでしょうか。
投資信託は、運用を第三者に委託するという仕組みの金融商品で、販売会社:投資信託を販売するところ、委託会社:ファンドの運用指示をだすところ、受託会社:ファンドの運用を実行するところ、というそれぞれ関係者が存在します。
そして、ファンド運用中に信託報酬という手数料がファンド財産から引かれ、各関係者に配分される仕組みになっています。「ファンドの信託報酬のうち、販売会社が受け取る手数料」とは、つまり楽天証券から購入をすることにより楽天証券が得られる手数料が0.4%以上か、未満かでポイントが変わりますよ、ということを言っています。
当たり前ですが、0.4%なのにも関わらず、1.0%のポイントを与えていたら1年で売却されたら楽天証券は損をしてしまうということになります。
◯販売会社への手数料の具体例
楽天証券の投信スーパーサーチにより、買付ランキング上位から見てみます。記載は「ファンド名:販売会社手数料」となります。
①eMAXIS Slim 米国株式(S&P500):0.0374%
③楽天・全米株式インデックスファンド:0.055%
④eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー):0.0462%
⑤iFreeレバレッジNASDAQ100:0.4785%
⑦SBI 日本株4.3倍ブル:0.33%
⑧楽天・全世界株式インデックス:0.055%
⑨アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決済型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型:0.825%
⑩eMAXIS Slim 先進国株式インデックス:0.04015%
上位10位のうち3つが0.40%を超え、積立に人気のインデックスものは0.40%未満となります。「長期分散で積立をするのに有利なのは、信託報酬が小さいもの」。だから信託報酬の小さいeMAXIS Slimシリーズが人気になったわけなので、これら人気商品はポイントがつきにくくなってしまいます。
◯ポイントが多くつく銘柄の罠
逆に0.40%以上となる⑤⑥はNASDAQ100という指数にレバレッジをかけたもので、こちらも人気です。ただし、レバレッジをかけているものは長期投資に向きません。
ポイントがつくのはあくまで投資信託の積立で、積立は分散投資をすることで長期投資を目指すもののはずですが、それにもかかわらずレバレッジ商品に高いポイントがついてしまうのは、投資家に誤った選択を促すことにもなりかねません。金融庁がレバレッジについては注意を促している中で、我々もポイントが高いから、という理由で安易に