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株式投資にかかる税金知識について〜配当所得は総合課税、分離課税どちらを選ぶか〜

2022年3月15日までが確定申告シーズンです。私も先日マイナンバーカードを利用して完了させました。今回は株式投資にかかる税金についての話題です。

 

◯株式の売却益にかかる所得について

所得は給与所得や不動産所得、事業所得など10種類に分類されています。このうち、株式投資に関しての所得は、株式を売買した際の売却益である「譲渡所得」と、配当を得た際の「配当所得」となります。

所得の計算の多くは、種類を越えて合算されて、所得の少ない人は税率が低く、所得の多い人は税率が高い累進課税の特徴を持つ総合課税です。投資商品でも仮想通貨や金の現物商品等は総合課税になります。

どちらが得かといえば、総合課税を計算する際の総所得がいくらかで計算すると良いと思います。

 

株式の譲渡所得は他の所得と切り離した分離課税というもので、所得税15%、住民税5%あわせて20%が税率となります。

※さらに復興特別所得税として、所得税に+2.1%の割増がかかります。

 

◯株式の配当にかかる所得について

通常ですと配当は源泉徴収といって、受け取る際にすでに税金を引かれた状態で受け取る様になっています。しかし確定申告をすることで、配当にかかった税金が還付される場合があります。

配当所得については、総合課税、分離課税いずれかを選択することができます。分離課税の場合は、株式の売却益と同様所得税15%、住民税5%のあわせて20%(同様に復興特別所得税が上乗せされます)が税率となります。この税率が、源泉徴収されている状態となります。

総合課税を選択した場合は、他の所得と合算した総所得金額に応じた税率が適用となります。総合課税を選択した場合は、配当所得に10%もしくは5%を掛けた金額が「税額」から控除される配当控除が受けられます。税金の計算の結果、配当所得としてすでに払っている税金よりも少なく済む場合には税金が還付される形になります。

 

◯配当所得の総合課税と分離課税、どちらを選んだほうが有利か。

どちらか選択することができると記載しましたが、何を考えて選択すればよいか考えていきます。単純にするため復興特別課税がない場合で考えていきます。

分離課税の場合は上記の通り20%が税率となります。一方で総合課税の場合は他の所得も含めた所得額に応じて税率が異なります。そして配当控除も含めて計算をすると、どちらが有利か、不利かが計算できます。それが次の図です。

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オレンジ掛かっている課税所得が695万円以下の場合だと総合課税としたほうが有利、反対に青み掛けた課税所得695万円超の場合だと、総合課税とすると不利になります。

 

ただし、総合課税を選択して配当控除を受けた場合にデメリットがあります。配当所得は、株式の売却損と合算して相殺することができるのですが、総合課税を選択した場合にはこの相殺ができなくなります。ですから、自分の所得と、1年間の投資収益を見ながら、選択する必要があります。