株式投資にかかる税金知識について〜損益通算と繰越控除について〜
確定申告の話題、続いては損益通算と繰越控除についてです。
株式の売買は必ず利益がでるというものではなく、損失が発生する場合があります。損失が発生した場合にも、損失をうまく利用することで、節税を行うことができます。
〇損益通算
損益通算とは、例えばある銘柄では利益が出たけれども、別の銘柄では損失が出た場合、この「益」と「損」を合算して課税対象の利益を出す計算の方法です。
一つの証券口座だけで取引をしており、特定口座で源泉徴収ありとしている場合には、自動的にこの「益」と「損」を計算して、税金を源泉徴収をしてくれたり、あるいは戻し入れをしてくれたりしています。ですので、この場合は確定申告は不要です。
ですが、これに別の証券口座でも取引をしていた場合、例えばA証券では利益となったけれどB証券では損失が発生したというような場合には、自動的に計算はできません。A証券は自社での取引分の利益をそのまま源泉徴収をしてしまいます。ですので、確定申告をして損益通算を行うことで、B証券での損失が発生した分を、A証券での利益と相殺して結果的に収める税金を減らすことができます。源泉徴収によってA証券が税金を差し引かれていますので、税金の戻し入れが発生する形になります。
(例)
この損益通算ですが、株価の譲渡所得だけではなく、配当も相殺することができますし、あるいは外国株や投資信託などの金融商品も対象です。しかし、外貨預金や先物商品、FX等は対象外です。(これらはこの範囲で別途損益通算が可能)し、また金・プラチナ資産や仮想通貨等も対象外となります。
どの金融商品だと対象になるかを確認し、損が発生している場合には活用しましょう。
〇繰越控除
上記の損益通算は同じ年度での損失と利益を相殺する話ですが、それでも損失の方が多い場合、確定申告を行うことで3年間損失を繰越して相殺することが可能です。
例えば次の例。
1年目に30万円の損失を抱えました。ここで確定申告をし、繰越控除を行います。
2年目は10万円の利益がでました。通常、10万円に20%(復興特別所得税を除く)の税率がかかり、2万円の課税となるはずですが、1年目の30万円の損失と相殺され、課税は不要となります。※1年目の損失は相殺されて残り20万円となります。
3年目は30万円の利益がでました。やはり通常は6万円の課税となるはずですが、1年目の残り20万円の損失と相殺されます。相殺しきれなかった利益は10万円ですので、この部分に20%の税率がかかり、課税額は2万円となります。
3年間で本来2年目に2万円、3年目に6万円の税金を支払う必要がありましたが、損失の繰越控除の結果、課税は2万円で済み、6万円が浮いてくることになります。
非常に分かりにくく、凡例の順番がぐちゃぐちゃですが、図にすると上図のような形です。1年目の損失(黄)が2年目(緑)と3年目の一部(赤)の利益で相殺され、3年目の残り(青)部分に課税されることになります。
注意点としては、損失の繰り越しを行った場合、例えば翌年に取引をしなかったとしても、確定申告をし続ける必要があります。申告をしなければ、繰越の申請を行った1年目の損失が無効とされてしまうため、注意が必要です。