まなびの『び』

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ニッケル高騰と住友金属鉱山(5713)の銘柄分析

ニッケルが高騰しているニュースについて深堀と、ニッケル関連銘柄として住友金属鉱山を見てみます。

 

manabinobi.hatenablog.com

 

 

ロシアによるウクライナ侵攻に対するロシアへの経済制裁により、原油だけでなく、様々な鉱物資源も値上がりが続いています。その中でもニッケル相場はここ数日で急激な高騰をしています。背景にニッケル生産の10%ほどの世界シェアをロシアが持っていることにあるのですが、記事を読むとそれだけではなく、中国の世界最大のニッケル・ステンレス鋼生産会社による買戻しがあります。

 

www.bloomberg.co.jp

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この企業は、ニッケル先物市場での「ショートポジション(空売り)」を大量に持っていました。これはニッケル価格が下がった時に自身の保有しているニッケル現物の価格が下がってしまうリスクをヘッジするために持っていたものと思われますが、ウクライナ侵攻に発するニッケル価格の値上がりにより、ショートポジションの追い証の支払いができず、大量の買い戻しが発生をしたものと思われます。これに投機目的での買い注文も入り、急激な値段上昇につながったといわれています。

 

さて、ニッケル関連銘柄として住友金属鉱山(5713)があります。

住友金属鉱山非鉄金属の鉱山開発、金属精錬、車載用二次電池の正極材メーカーでもあります。

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2021年期の有価証券報告書によると、国内、海外における銅やニッケル等の非鉄金属の鉱山を保有しており、この開発生産活動を行っている資源セグメントが売上の8%程度。資源セグメントで生産した鉱物資源から、金属の精錬活動を行っている精錬セグメントが売上の71%程度。そして電池材料や金属材料等を製造している材料セグメントが21%程となっています。

精錬セグメントのうち、銅・貴金属製品が75%ほどを占め、ニッケルは23%ほどの売上となっています。

 

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売上高推移を見てみると、2022年度が突出して好業績となっています。背景としては主力の銅、ニッケルの価格が昨年と比べて高く推移をしていることです。経済回復の中で銅、ニッケルの需要が高く供給不足となっていることが背景とみています。2022年2月に2022年3月期の第3四半期の決算が発表されていますが、第3四半期までの累計で前年同期比、売上高40%増、最終利益は274%増となっています。

第3四半期の発表時点においては、まだロシアによるウクライナ侵攻後の金属資源価格高騰の影響はなく、第4四半期の銅、ニッケル相場は保守的に見積もられているため、さらなる業績の上積みがされそうです。住友金属鉱山にとって幸いだったのは、ロシアでの拠点がなかったことだと思います。

なお、配当も2021年期121円から2022年期は222円の予想ということで、101円も増配をしています。

 

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株価の推移はこちら。2022年1月からきれいに右肩あがりになってきます。ウクライナ問題もそうですが、コロナ禍からの立ち直りも含めた資源の供給不足がどの程度継続するのでしょうか。