韓国と日本の経済的繋がり
3月9日に行われた韓国大統領選挙。最大野党のユンソギョル(尹錫悦)候補が当選をしました。ユン新大統領は選挙戦の間から日本に対する関係の改善を示唆する発言をしており、当選後の各国首脳との電話会談を行いましたが、日本はアメリカに次いだ2番目に行っています。なおその後、イギリス、オーストラリア、インドという順番です。
現職のムンジェイン(文在寅)大統領の当選直後はというと、アメリカ、中国、に次いで日本は3番目の順番。その後、その後インド、ロシア、イギリス・・・でした。当選直後の電話の順番というのは、あなたの国のことを重視していますよ、という姿勢をアピールする場ですから、非常に重要です。日本を中国よりも先に電話会談をおこなったことは、新中国路線だった現政権から考えると、ユン政権の方針転換が如実に表れていると思います。
また、アメリカ、日本、イギリス、オーストラリア、インドというメンバーを見ると、
QUAD:アメリカ、日本、オーストラリア、インド
AUKUS:アメリカ、イギリス、オーストラリア
という2つの軍事同盟の構成国家であって、この軍事同盟はそれぞれがインド太平洋の戦略上重要な同盟であり、中国ににらみを利かせているものです。新政権の外交戦略がわかってきます。
さて、日本にとって韓国は一番近い隣国です。羽田空港から仁川国際空港まで片道約2時間半。釜山と博多や下関の間にはフェリーもあり、その距離感の近さがわかります。対中国という目線で触れましたが、中国だけでなく、ロシア、北朝鮮と東アジアの国際情勢的に考えても、両国の関係性は非常に重要な意味を持ちます。一方で、日本と韓国の間の歴史的な背景から微妙な関係が続いている状況下にあるのが現状となります。
そんな韓国について経済面から見ていきたいと思います。あらかじめお伝えをすると、このブログでは歴史問題を考えるつもりはないです。
〇日本と韓国の貿易関係
日韓間の貿易を貿易統計(https://www.customs.go.jp/toukei/info/index.htm)から2020年度の輸出入を見てみると、
輸出(日本→韓国):4兆6,104億円
内訳は一般機械:半導体製造装置等
電気機器:半導体等
元素及び化合物:有機化合物等
鉄鋼
プラスチック
といったものが挙げられます。
輸入(韓国→日本):2兆8,351億円
内訳は電気機器:半導体等
一般機械:半導体製造装置等
石油および同製品:揮発油等
鉄鋼
元素及び化合物:有機化合物等
といったものとなります。
項目としては非常に似てます。日本も韓国も製造業を中心とした国家で、産業が近しいものがあるのだと思っています。
韓国の主要企業といえば、
半導体のSKハイニックス
自動車メーカー現代自動車
造船の韓国造船海洋
製鉄のポスコ
日本でコミックアプリ「ピッコマ」の運営もしているインターネットサービスのカカオ
など、世界シェア上位の企業も少なくありません。中でも半導体メーカーが強いということは日本にとっても重要ではないでしょうか。というのも日本は半導体の製造では劣っていますが、半導体製造装置や半導体の材料については強みがあるからです。
ムン政権下日韓関係が冷え込んだ末、日本は韓国への貿易制限をかけ、一方で韓国は日本依存度を下げる産業構造改革を行ってきました。これによってダメージを受けた日本の半導体関連メーカーもあります。
このような企業がユン新大統領の就任により追い風チャンスとなることも考えられます。企業が韓国との取引が再開するかどうかはわかりませんが、このような頭の体操をしながら企業の動き方の先回りができる様になるといいんでしょうね。