洋上風力の公募基準見直しへ
日本の脱炭素戦略の要、洋上風力発電所についてです。
以前の記事で「秋田県能代市、三種町及び男鹿市沖」、「秋田県由利本荘市沖」、「千葉県銚子市沖」の3海域の公募について、三菱商事が総取りとなった話題について触れました。その続報として今後の公募の基準見直しについてのニュースが出てきましたのでみていきます。
前回の公募のときはどうだったのか?
前回の公募の際は、価格点と事業実現に関する得点の2軸での評価でした。三菱商事はこの価格点に着目し、11.99~16.49円/kWhという価格を提示しました。評価の計算上、最も安い事業者に満点である120点が与えられ、その差分に応じて他の事業者の点数が削減されるのですが、三菱商事が圧倒的に安い価格だったため、他の事業者と大きく点数差が生じ、結果3海域とも三菱商事が選定されました。
この三菱商事が提示した価格はこれまでの常識から考えると異常な価格でした。利益度外視、とも、実現可能なのか?ともコメントを見た記憶があります。
今回選定基準をどの様に変えようとしているのか。
今回の発表では、これまでのコスト面に加え、「運転開始までの早さ」も評価項目にいれるということです。
先に公募が行われた3海域の中で、一番早く運転開始が予定されているのは、「千葉県銚子市沖」ですが、それでも2028年ということです。運転開始が遅くなるということは日本にとって脱炭素に向けた進捗がそれだけ遅くなるということです。
日本は2030年に二酸化炭素▲46%の排出削減目標を掲げていることから、国として早さを選択基準に入れる理屈は理解できます。それでも再生可能エネルギーの促進の一つの障壁となっているコスト面を軽視するわけにはいかないので、難しい選択だなと思います。
今回の発表を受けて再び盛り上がるレノバ
さて、今回のニュースを受けて俄に勢いを取り戻したのが再生可能エネルギー発電事業者であるレノバになります。
レノバは前回の公募の際、「秋田県由利本荘市沖」についてリードしていると思われていながら、落選をしてしまい、結果大幅に株価が下落をしました。
2021年12月に2日連続の値がつかないストップ安となり、価格は12月24日の終値4,600円から12月29 日の終値2,064円と3営業日で▲55.1%も値下がりしました。さらにその後も下がり続けていました。
しかし、今回の評価基準の見直しを受けて再び洋上風力のチャンスが回ってきたとされ株価が回復したのが3月18日となります。前日終値1,571円から1,860円と18.4%プラス。前回の公募前から考えればまだまだ遠い位置にいますが、逆襲のときがくればよいですね。