中国のゼロコロナ政策によるリスク
本日は中国での新型コロナウイルス感染が拡大しています。
日本経済新聞の記事によると3月25日時点の中国国内の感染者数は5,600人となり、1日の感染者数としては過去最多となっています。日本全国と比べるとかなり少ないですし、人口比で考えれば大したことはない、と感じてしまうのですが、「ゼロコロナ政策」を掲げる中国としては大事となります。
中国では感染者発生により企業の生産活動を停止しています。上記記事でもトヨタ自動車の合弁会社の工場が操業を停止するなど、経済活動への影響が大きいのが「ゼロコロナ政策」となってしまいます。
このリスクを予想していたのが、アメリカの調査会社「ユーラシア・グループ」が今年1月に発表した「2022年の10大リスク」。その第1位が「ゼロコロナ政策の失敗」です。強い感染力を持った新型コロナウイルスに対し、中国ではロックダウンで封じ込める戦略をとっており、今まさにサプライチェーンの混乱の問題により世界経済への影響が懸念されます。
さて、上海総合指数の今年に入ってからのチャートです。参考にダウ平均の推移を実線で表示させています。大きく動きが変わっているのが3月15日だということがわかるかと思います。ダウ平均は15日以降に回復を見せているのに対し、上海総合指数は15日に大きく下落をしました。この日の上海総合指数は▲4.9%と大幅下落しています。中国のハイテク企業が集まる深セン市では14日からロックダウンに入っており、感染拡大が経済懸念材料となったこともあると思います。
翌日には中国の副首相が金融政策により景気を下支えする意向を示したことで買いが広がり、前日の大幅下落を打ち消したものの、その後の指数の推移を見ると成長力の懸念が現れている様に思えます。中国経済は今試練のタイミングだと思います。
全人代において、中国政府の設定した実質GDP成長率は5.5%前後です。2021年は6.0%以上の目標に対して8.1%上昇と大幅に上回ったことを考えると低く抑えられていますが、それでもかなり高い目標値だと思います。中国の成長鈍化は日本だけでなく世界全体の景気に影響を与えますので、どうにか踏みとどまってもらいたいものです。