まなびの『び』

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20年ぶりの安値〜ドル円126円代に

以前からとりあげている円安ですが、昨日はさらに低下し、1ドル126円まで安値をつけました。この水準は2002年以来とのことです。

背景は以前とも同様の日米の金利差によるものです。日本時間で12日深夜にアメリカで3月の消費者物価指数が発表され、8.5%と40年ぶりの伸び率を見せました。これを受けて、アメリカの10年国債利回りは一時的に2.8%に迫りました。

これに対して日本では、13日の日本銀行の黒田総裁が「現在の強力な金融緩和を粘り強く続ける」といった発言がありました。この発言は日本の金利が上がらないことを示唆していて、円安に傾きました。

鈴木財務省が、急激な為替の変動は問題があり、注意深く見守る旨の牽制発言がありましたが、この発言だけでは効果は薄いと思います。

 

自動車など輸出企業にとっては追い風になるのは間違いないのですが、貿易赤字が構造的になってくると円安はますます進んでしまいます。この状態で海外の経済衰退が見えてくると、日本の輸出品も売れない事態になるとかなり追い込まれる状況になりえるんじゃないかと危惧します。それでも円安でエネルギーコストはかかるので、スタグフレーションに向かっていくのが最悪なシナリオかな、と。

 

構造的な転換が必要で日本の内需を強くする、つまり、購買力を持った中間層を形成するというのが理想的な解決策だと思うのですが、そのためには賃金上昇率を上げるという最難関な課題が入ってきます。

岸田首相は成長の果実の分配を謳っていますが、まだ成長についてはよく見えません。どの様な分野を成長させるのか、の発言がほしいところです。

また、今はエネルギーの高騰という明確な理由があるので、企業はしっかりと値上げを行いその分を人材投資と、下請け中小企業への還元に活用してもらいたいものです。

政治は為替を注視しているだけでなく、しっかりと日本経済の進むべき方向に向けて何をするかメッセージを発してほしいですね。