ヤマダホールディングス(9831)の決算発表
本日の決算分析はヤマダホールディングスを見ていきます。かなり大規模な自社株買いを発表しています。
〇ヤマダホールディングスの事業内容
ヤマダホールディングス、ヤマダデンキは最大手の家電量販店チェーンです。
余談ですが、ヤマダデンキは群馬県高崎市に本社がありますが、家電量販店のライバルであるコジマは栃木県宇都宮市、ケーズデンキのケーズホールディングスは茨城県水戸市にあり、それぞれ北関東にそれぞれ大手家電量販店チェーンが本社を置いています。
さて、ヤマダホールディングスの事業は以下のセグメントに区分しています。
・家電を取り扱う他、家具・インテリア等の商品を販売する「デンキセグメント」
・戸建て住宅を中心に住宅販売、住宅設備機器の製造・販売を行う「住建セグメント」
・クレジットカードやローン、保険等を取り扱う「金融セグメント」
・家電やパソコンなどのリユース・リサイクル・再資源化を取り扱う「環境セグメント」
家電以外にも裾野を広げていて、例えば2020年には「レオハウス」、「ヒノキヤグループ」といった住宅メーカーの株式を取得したり、また老舗家具メーカーの「大塚家具」の株式取得など、住まいを中心として事業展開をしています。
〇ヤマダホールディングスの業績推移
ヤマダホールディングスの2022年3月期は、売上高が7.6%の減収、営業利益が28.6%、最終利益が2.4%の減益となりました。
売上高が減益となった背景として、
①当期より適用しております「収益認識に関する会計基準」の影響
②東京五輪・パラリンピック無観客開催及び本感染症(新型コロナウイルス感染症)による営業時短と販促自粛による来店客減少
③天候不順や大雨等の自然災害の影響
④物価上昇に伴う消費者マインドの低下
⑤前年の特別定額給付金や郊外型店舗を中心とした一過性の巣ごもり需要反動減
としています。①の影響として、旧会計基準で算出すると、対前年同期比は1.7%の減収にとどまるとのことです。また、利益面については、
売上減並びに将来を見据えた在庫評価等の要因による粗利高の減少
としています。
今後について見通しも発表していますが、売上高は4.6%増収、利益面も営業利益が12.5%、最終利益は2.7%の増益を見込んでいます。
デンキ事業においては、
①総売場面積年5%以上増床する積極的な店舗開発
②ライフセレクト店をコアとした特長特色ある店舗業態展開
③グループインフラを最大限活用したEコマース事業拡大
④SPA商品の拡充による商品利益率向上
⑤成長事業であるリフォーム・家具インテリア事業拡大
住建事業では、
①営業拠点拡大による受注体制強化
②完工日数大幅短縮によるコスト、キャッシュフロー改革
③中古再販事業倍増 ④ナイス株式会社との包括的取り組み強化
⑤ヒノキヤグループとヤマダホームズでの開発・調達等でのグループシナジー刈り取り
⑥オーナー様への家電家具特典販売等、ヤマダ店舗への誘客施策
金融事業では、
NEOBANKサービスや暮らしまるごと戦略に精通した商品開発
環境事業では、
①リユース新工場稼働(2022年6月予定)に伴うリユース製品生産台数倍増
②焼却発電システム着工着手による自己循環型環境資源開発完成
という重要施策を実施することで、増収増益体制を構築するとしています。
一方で、リスクとして次の点を触れています。
感染症の再拡大リスク
エネルギー価格高騰
円安による物価高に伴う生活防衛意識の高まりと消費マインドの低下
経営コストの増加
半導体不足による製品供給不安
今回の決算短信には触れられていませんが、今後、新型コロナウイルスへの窓際対策が緩和され、海外観光客が積極的に訪れるようになると、円安による日本製品の安さもあり、インバウンド需要の恩恵を受けられるのがヤマダホールディングス等、家電量販店の分野となります。
これは、ヤマダホールディングスにとっては強い追い風になってくると思います。
〇自己株式取得について
今回の決算発表にあわせ、大規模な自社株買いについて発表しました。その規模がかなり大きいです。
取得期間は2022年5月9日から2023年5月8日
株式取得価額総額が1,000億円を上限
取得株式総数が200,000,000株
発行済み株式総数に対する割合は23.9%となります。
自社株買いを発表したということは、現在の株価がヤマダホールディングスから見ると、安いと判断したということになります。今後株価はかなり強く上昇していくのではないか、と思います。