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JFEホールディングス(5411)の決算発表

鉄鋼大手のJFEホールディングスの決算を見ていきましょう。

 

JFEホールディングスホールディングスの事業内容

JFEホールディングスは主にJFEスチールを中心とする鉄鋼事業、JFEエンジニアリングを中心とするエンジニアリング事業、JFE商事を中心とする商社事業の3つのセグメントで構成されています。

鉄鋼メーカーとしての製造販売を行う鉄鋼セグメントが売上高の約3分の2を占めていて、鉄鋼製品や製鉄原材料等の流通を行う商社セグメントが約4分の1。残りがエネルギーや都市環境等のエンジニアリング事業となります。

 

JFEホールディングスの業績推移

2022年3月期を見る前に2021年3月期以前の業績について触れてみます。JFEホールディングスに関わらずですが、日本の鉄鋼事業は低迷していました。

2020年3月期は後半コロナ禍の影響がありますが、それにしても大きく利益が赤字となっております。当時の決算短信によると、

米中貿易摩擦による製造業を中心とした鉄鋼需要の低迷、中国の粗鋼生産拡大に伴う鉄鉱石価格の高止まり、資材費・物流費などの物価上昇など、これまで経験したことのない極めて厳しい経営環境に直面しており、これにより当期の事業利益は前期に比べ大幅に悪化しました。

と評した上で、JFEスチールの東日本製鉄所の減損損失という特殊要因ありつつも大幅な最終赤字となっています。

また、2021年3月期を見てみると、

新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響を受け、特に年度前半において経済活動が著しく停滞しました。年度後半に入ると、国内経済は輸出や個人消費で持ち直しの動きが見られ、海外においても中国ではいち早く景気が回復し、米国や他のアジア諸国でも、持ち直しあるいは下げ止まりの動きが見られました。

事業利益および親会社の所有者に帰属する当期利益は、下期は鋼材の販売先である自動車産業等の生産水準が回復したこともあり黒字となりましたが、上期の落ち込みの影響が大きく、通期では赤字となりました。

新型コロナウイルス感染症に伴う世界的な経済の停滞により鉄鋼需要が減少し、苦しい2期を経験しております。

これに対し、2022年3月期を見てみましょう。

売上高は35.3%の増収、営業歴、最終利益とも黒字化しています。

当期の世界経済は、国や地域によりばらつきはあるものの、総じて新型コロナウイルス感染症の影響による落ち込みからの回復の動きが続きました。日本においても、部品供給の停滞により一部の産業で生産活動への影響が生じたものの、持ち直しの動きが続きました。

高騰を続ける主原料価格の変動を早期に販売価格へ反映させる取り組み等により販売価格を改善するとともに、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する設備投資や高炉改修を着実に実行することにより、生産性の向上とコスト削減を実現してまいりました。その結果、当期のグループ業績は、鋼材需要の回復や鋼材市況の上昇等もあり、事業利益および親会社の所有者に帰属する当期利益ともに前期に比べ大きく好転しました。

コロナ禍からの経済の立て直し、原料価格高騰からの価格転嫁を実施という2つの追い風を受けて、大きく業績が回復しています。

なお、今後はというと、

需要は国内外ともに自動車生産の回復の見通しや経済の持ち直しを背景に堅調に推移すると見込まれ、この状況が継続した場合、来期のJFEスチール㈱単独の粗鋼生産量は2,600万トン程度を見込むことができます。

としながらも、

石炭価格は、ロシアによるウクライナ侵攻以降、乱高下を繰り返しており、また、鋼材需給・市況についても今後の動向が不透明である

として、2023年3月期の業績見通しの開示はしませんでした。

鉄鋼価格等原材料価格の高騰については2022年3月期は価格転嫁を出来ていました。しかし例えば住宅を見てみると、木材や鉄鋼といった原料価格、そしてローン金利の上昇により、住宅価格が上がり始めており、この他消費者物価の上昇により、消費者の行動に影響が出てくる可能性があります。

原料価格高騰と需要の減退というダブルのマイナスが推測されます。