まなびの『び』

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サイバートラスト(4498)の決算発表

電子認証サービスのサイバートラストの決算についてみていきます。

 

○サイバートラストの事業内容

SBテクノロジー株式会社がサイバートラストの発行済株式の58.42%を保有している子会社です。

セグメント区分としてはトラストサービス事業の単一セグメントとなっていますが、その中でも以下3つのサービス区分で事業展開を行っています。

サーバー証明書やクライアント証明書、脆弱性診断サービスなどの認証・セキュリティ事業。

・IoT機器のセキュリティ実装、更新ソフトウェアの配信する仕組みの提供などのIOT事業。

Linux OSの「MIRACLE LINUX」、統合システム監視ソフト「MIRACLE ZBX」などを提供するLinux/OSS事業

 

・サイバートラストの業績推移

2022年3月期は、売上高17.1%増収、営業利益51.3%、最終利益29.7%の増益となっています。

バイス証明書管理サービス「デバイスID」では企業向けのリモートアクセス、シングルサインオン等のサービスを展開する各パートナー企業との取引が伸長しました。電子認証サービス「iTrust」では電子契約サービスや金融サービス等を展開する各パートナー企業との取引が伸長しました。

企業内で多用されているサーバーOSのCentOS等のLinux OSの旧バージョンのコミュニティサポート終了による延長サポート及びLinux OS「MIRACLE LINUX」のサポート案件が伸長しました。また、統合システム監視ソフトウエア「MIRACLE ZBX」のサポートの新規の長期大型案件を獲得しました。

半導体供給不足による製造業顧客の開発スケジュール見直し等により組込受託開発は伸び悩む一方で、国際安全基準の対応に向けたセキュリティコンサルなどが伸長し、また産業機器、車載機器等の顧客への技術サポート、高速起動製品「LINEOWarp!!」の量産ロイヤルティ、リカーリングサービス関連製品の利
用料の獲得

しました。

 

と、各事業において増収しています。

特に認証・セキュリティサービス及び Linux/OSS サービスともにリカーリング売上(契約が更新されることで継続した収益が見込まれるもの)が好調だったことが好業績の背景としています。

サイバートラストは、今後3カ年で売上高の年平均成長率を20%、営業利益32%~40%という目標を掲げています。この目標の実現のために具体的に、どの様なパートナー企業と連携していくか、といった打ち手も公表していることが非常に興味深いな、と感じて読んでいます。

ただし、上記目標に対して、2023年3月期の利益面は低い成長率となっています。これは今後の成長に向けて『設備投資、研究開発投資、人材育成投資を積極的に行っていく予定』としていることによります。仮に計画通りに進むとすれば次年度以降の成長率がさらに高いことになります。

 

○サイバートラストの株価推移



サイバートラストは上場してからおよそ1年という企業ですが、上場直後からゆっくりと下落し、2月末頃がひとまずの底となっている様に見えます。25日移動平均が75日移動平均を上回り上昇に転じ始めた後に、今回の決算を受けて株価が跳ね上がった状態です。その後も現時点では明確に下げてはいません。今後の動きも気になります。