アメリカ消費者物価指数(5月)の発表により、アメリカ株価が大幅安
6月10日の現地時間朝方、アメリカ消費者物価指数(CPI)が発表されました。この発表を受けて、アメリカでのダウ平均株価は大きく下落しました。
◯消費者物価指数について
アメリカではインフレが大きな課題となっています。その指標となるのが消費者物価指数です。前年同月比を見ることで、どれだけ物価が上がっているかということが確認できます。
直近1年間の消費者物価指数の推移を見ると次の図の通りとなります。
2021年6月の時点で5.4%と高い水準にあるのですが、2021年12月には7.0%を突破しました。今回発表された2022年5月については8.6%でしたが市場予測の8.3%を大きく上回るものでした。
◯今回の消費者物価指数の数値が表すもの。
市場予測では、アメリカの消費者物価指数はすでにピークを過ぎたという考え方でした。推移を改めて見てみると、消費者物価指数は2021年9月から2022年3月まで上昇し続けていました。しかし、2022年4月は依然高い水準ではあるものの8ヶ月ぶりに低下をしました。
金融の引き締めによるインフレ収束に向けて米連邦準備理事会(FRB)は0.5%の通常よりも大きく利上げを行っていますが、その様な中での今回発表の8.6%は3月の8.5%を上回っており、上述の市場予測の消費者物価指数のピークが過ぎたという考え方を完全に否定してしまった形になります。
こうなってしまうと、0.5%の利上げでは対策が間に合っておらず、さらに厳しい0.75%の利上げを実施する可能性が高まったのではないか、という懸念が高まります。
◯株式市場への反応
前日の9日から消費者物価指数の発表を控えた手仕舞い売り、また欧州中央銀行(ECB)が7月に量的緩和を終了することを発表し、638ドル(1.9%)安と大きく下落していました。警戒されている中での10日でしたが、880ドル(2.7%)安と大幅に下落しています。5月の中旬以降回復傾向にありましたが、この2営業日で大きく戻してしまう形になってしまいました。