まなびの『び』

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スタート2日後に終了を発表したふるさと納税サービス。

今回取り上げるとあるサービスを知ったのが6月9日の帰宅途中で、その時にはこのサービスについてそのうちに記事にしようと思っていたのですが、知った翌日にサービス終了が発表されてしまいました。そのサービスの名前は「キャシュふる」です。

 

キャシュふるはふるさと納税に関するサービスなのですが、そもそもふるさと納税では、通常寄付金に応じた返礼品が納税先の自治体からもらえます。個人的にも毎年利用している仕組みなのですが、この「キャシュふる」は返礼品の代わりに、お金をうけとることができるというサービスでした。

ふるさと納税を行った人が受け取る返礼品の受領権を、キャシュふるが、返礼品が欲しい人へ売却を行うことで、キャシュふるに売上がたち、この売上から手数料を引いた金額(寄附金額の20%)をふるさと納税を行った人へ還元する、といった仕組みになります。

返礼品で欲しいものはないが節税をしたい納税者、お得に返礼品が欲しい人、ともに嬉しいサービスということにはなるのですが、10日に金子総務省がこのサービスに対して、制度の趣旨から外れていると苦言を停止、これを受けて運営会社がサービスの終了を発表した形になります。

 

ふるさと納税の趣旨とはどのようなものでしょうか。

総務省|ふるさと納税ポータルサイト|ふるさと納税で地方創生

総務省ふるさと納税ポータルサイト内のふるさと納税の理念に以下の記載があります。

・第一に、納税者が寄附先を選択する制度であり、選択するからこそ、その使われ方を考えるきっかけとなる制度であること。それは、税に対する意識が高まり、納税の大切さを自分ごととしてとらえる貴重な機会になります。

・第二に、生まれ故郷はもちろん、お世話になった地域に、これから応援したい地域へも力になれる制度であること。それは、人を育て、自然を守る、地方の環境を育む支援になります。

・第三に、自治体が国民に取組をアピールすることでふるさと納税を呼びかけ、自治体間の競争が進むこと。それは、選んでもらうに相応しい、地域のあり方をあらためて考えるきっかけへとつながります。

ふるさと納税の考え方は、大前提として税金をどの自治体に支払うか、ということがスタートであり、その返礼品は選ばれた自治体が納税者に対する御礼です。

これに対してキャシュふるは実質的に、住民税を80%に減額することができる仕組みとなります。

そもそも返礼品が不要ということはどういうことか考えてみますと、住民税納付額が大きく、返礼品をもらっても消費しきれない、といった状況ではないかと想像します。つまり高所得者ほど得をする様な仕組みということになるのではないかと想像してしまいます。

今回このサービスが終了してしまいましたが、仮に継続をしていた場合、ふるさと納税の仕組み自体の必要性がより疑問視されてしまったのではないかと思います。