まなびの『び』

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1億総株主を実現するためにどうすればよいか?

前回は貯蓄についての資料をみていましたが、今回は前回見ていなかった負債の面も含めた家計をみてみます。

 

(前回記事)

 

manabinobi.hatenablog.com

 

 

そもそも日本人は何のために負債をするかを見てみますと、90%以上は「住宅・土地のため」が占めています。つまり住宅ローンなどを目的としているということなのでしょうか。

世帯主の年齢別でみてみると、40~49歳までの63.7%が負債を保有している世帯としてここがピークとなりますが、40歳未満も59.2%が負債があります。そして、これら世帯は、貯蓄残高よりも負債残高の方が大きくなっています。

当然ですが、借入してから返済が進むにつれ貯蓄残高は減っていきますので、およそ40歳頃までに住宅を購入し、その後返済を行っている構図が見えてきます。また、これら世帯は子育て世帯でもありますから、支出も多くなることで、貯蓄が増え辛い状況でしょう。

そして年齢が進めば進むほど貯蓄残高も増えています。50歳台になって年功序列的に年収がピークとなるのと、子供が手を離れ、支出が減ってきます。また60歳台になって退職することにより退職金が入って貯蓄が増えている様子も想像できます。

 

この貯蓄状況と負債状況を踏まえ、余剰資金から投資に回すということが前提にあるとすれば、40歳未満、および40歳~49歳までの世帯は、投資をすることができず、日本人が貯蓄投資をすることができるのは、50歳以上の世帯ということがわかります。

 

さて、岸田首相は1億総株主という言葉を発しています。そうなると、現在負債を多く抱えている世帯も投資をさせるということを考えていることになります。

つまり、1億総株主を実現させるためには、負債残高>貯蓄残高となっている40代以下の世帯に投資をさせることが重要になってきます。どうすればよいのでしょうか。

やはりこの世代の特徴としては、子育て世帯及び住宅ローン負債の大きさが課題となります。そうなると、打ち手は次の通りになるのではないでしょうか。

・教育費無償化や子育て支援。夫婦共働きのための環境づくり、あるいは児童手当の拡充。特にこの点は親の所得額に無関係に実現してほしいと思います。

・住宅ローン返済よりも投資を優先させる取り組み。具体的には、住宅ローン減税の拡充。

いずれも、40代以下の手元キャッシュを増やすためのものです。例えば大学費用など、近い目線で貯めようとすると、どうしても株や投資信託はリスクが大きくなってしまいます。そうではなく、中長期的な目線で貯蓄をしていくことが重要になってくるので、そのためには大学費用も含めた教育費無償化が大事だと思います。

 

岸田首相が1億総株主に向けてどの様な方針を売ってくるのか、ぜひニーサの拡充だけでなく、目詰まりとなっている部分の解消を含めた政策展開を見せてほしいものです。