まなびの『び』

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高まるリセッション懸念~原油先物価格が大幅下落~

7月5日のアメリカニューヨークで、原油先物価格が大幅に下がりました。

今回は原油先物価格下落と日本の原油関連銘柄についてみていきます。

 

 

上図がWTI(West Texas Intermediatte)というニューヨークで取引されている原油先物価格の指数の推移です。

1年かけて上昇傾向にあったところですが、2月末に急騰しました。これはロシアによるウクライナ侵攻のタイミングで投機筋等もはいったものです。そこから少し落ち着いたのちも、上昇傾向は続いていました。

しかし、7月6日には▲8.2%と大幅に下落し、100ドルを割りました。100ドルを割るのは5月10日日以来およそ2ヶ月ぶり。下落幅では3月9日の以来最大の下落となります。

 

ここまで下落した背景には、景気後退(リセッション)への懸念があったとされています。アメリカでの高いインフレを背景に、その対応としてのアメリカ連邦準備理事会(FRB) の金融引き締めが、アメリカ、そして世界全体の経済が減速し、これにより原油の需要が減少するのではないか、という懸念です。

 

2020年に新型コロナウイルスの流行に伴う経済の停滞によって、原油需要が急減したことにより、原油を貯蔵施設が満杯になり、WTI原油先物価格がマイナス、つまりお金を払って引き取ってもらうという事態が発生しました。このときには需要の急落によりこのような事態になったもの、かつWTIのみの事象でした。このため今回同様にマイナスとなるかといえば、そうはならないでしょうが、原油価格が経済成長に大きく影響を受けることは事実です。

 

今回の原油価格下落により、日本の原油関連銘柄も6日の株価は大きく影響を受けています。

 

INPEX(前日比▲10.0%)

 

石油資源開発(前日比▲7.9%)

 

出光興産(前日比▲6.1%)

 

これら銘柄は石油を販売しているため石油価格が下落すれば売上が下がり業績が悪化します。このため警戒感から売却されたものと思います。1日の値動きでいえば、INPEXは終始下がっていた傾向ですが、出光については午後からは買戻しがはいっている印象です。

 

改めてWTI価格を見てみると、そもそも原油価格は上昇傾向にありましたから、100ドルを割っても高い状況です。原油価格が下がることはそれだけを考えれば、コストダウンにつながるためよいことですが、景気後退が現実になれば原油価格以上に業績の悪化につながります。なんとかソフトランディングしてもらえるとありがたいのですが。。。