まなびの『び』

投資運用、業界研究、時事、その他学んだことを

中国の成長に陰り。ゼロコロナ政策のリスクが表面化

中国の2022年4~6月のGDPが発表されました。GDPの前年同期比は+0.4%とかなり低いものになりました。1~3月のGDPの前年同期比は+4.8%でしたから急激に成長にブレーキがかかったことになります。

 

(上海総合指数の1年間推移)

背景はなんといっても新型コロナウイルスの流行に伴うロックダウンの影響です。習近平政権の掲げるゼロコロナ政策によって強い行動制限をかけられていることで、経済成長が阻害されている状況です。

昨日記事にしたファーストリテイリングも3~5月(第3四半期)の海外ユニクロ事業は、その他アジア・オセアニア地区、北米、欧州(ロシアを除く)は大幅な増収増益になったのに対し、グレーターチャイナ(中国大陸、香港、台湾)については、減収減益となっており、その理由として上海を中心に最大で169店舗が臨時休業をした、と述べています。他地域では新型コロナ禍からの脱却、経済回復の構図が見えるのに対して、中国の新型コロナウイルスの影響から抜け出せない姿がよくわかります。

この様になってくると、中国に進出している企業の目線では、中国に出店することへのリスクが非常に高まることが想像できます。

以前にも触れましたが、アメリカの調査会社が発表した2022年のリスクのトップが、中国のゼロコロナ政策の失敗でした。上記のように中国の経済成長が停滞し、中国企業の設備投資も減少、また巨大マーケットでもある購買力が失われてしまえば、中国発の世界景気停滞ということも考えられます。

 

manabinobi.hatenablog.com

 

一方で別の考え方をすれば、中国の経済活動が停滞すれば、原油や鉱物などの需要が減り、現在インフレの一因にもなっている資源価格の高騰に抑制がかかることも考えられます。このあたり、どちらに転ぶのでしょうか。

 

さて、そもそも中国は2022年のGDP成長の目標を5.5%と置いています。これに対して上述の通り1~3月が4.8%、4~6月が0.4%ということでいずれも目標からビハインドている状況から達成は難しくなってきています。とはいっても、11月ごろには中国共産党大会が開かれる予定があります。異例の3期目を狙う習近平政権としては経済の不調により政権の立場を危うくすることは防ぐ必要があり、何かしらの大規模な経済支援策が展開され、外的要因による経済悪化の中でも中国経済を盛り上げる習近平政権の姿をアピールするのではないかと想像しています。