まなびの『び』

投資運用、業界研究、時事、その他学んだことを

海運銘柄の好調は終わりの兆し

2021年は、海運銘柄が非常に成長した1年でしたが、いよいよこの好調の終わりが近づいてきた、というニュースです。

日本郵船の株価は2021年に急騰

日本郵船の過去5年間のチャートを見ると、日本郵船の株価は2021年に入って急騰したことがわかります。

2020年の日本郵船終値は2,402円でしたが、2021年の終値は8,760円。そして2022年3月18日には高値12,490円をつけました。1年3ヶ月で株価は約5.2倍となりました。

これだけ日本郵船の株価が上昇したのは、実際に企業業績がよかったことによります。

上図は今年5月に作成した日本郵船の業績の推移のグラフですが、2019年は最終利益赤字だったのが2020年以降黒字に転じ、2021年は2020年から約4倍、2021年はさらに約7.2倍まで伸びました。

海運銘柄がなぜ好調だったのか

新型コロナウイルス感染症が世界的に流行し、各国ロックダウン等感染症対策を実施。経済が停滞をしました。そこから「巣ごもり需要」という物の需要もあり、また経済回復のタイミングで物資の海上輸送需要が急激に高まり、一方でコンテナ船の不足が発生しました。さらにスエズ運河座礁事故が発生し、輸送が停滞するという事故も発生しています。港湾事業者の不足もあり、港についても積荷を下ろせないということで、順番待ちの船舶が港で渋滞をしているといったこともありました。このように海上運送が非常に混乱しました。このことから運送費が高騰することとなり、業績を押し上げることとなりました。

コンテナ価格の急落

上述のコンテナ船の混乱は落ち着き始めています。新型コロナウイルス感染症による行動制限も緩和されたことで、物流に一定人が戻りつつあり、加えて将来的なリセッション懸念から需要も抑え込まれているため、だんだんと正常化してきている様です。

コンテナ船運賃急落、供給制約に緩和の兆し 物価抑制も: 日本経済新聞

日本経済新聞の記事によると、コンテナ船の運賃はピークの半分まで下がったとのことです。これにより、物流の混乱による運送コストの上昇が物価高の要因の一つになっていたところもありましたが、コスト減少効果となります。

一方で、海運業者からすると業績の失速する要因になります。

日本郵船社長「年末向けリセッション」 海運市況に転機: 日本経済新聞

上記記事では日本郵船の社長が今後の見通しについてコメントしています。海運銘柄に興味のある方はもちろん、今後の投資のヒントになりそうだと思いましたので、一読の価値あります。