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スマホ決済アプリへの給与支払いは成功するのか?

「PayPay」や「楽天ペイ」、「d払い」、、、スマホ決済を使ってますか?スマホでバーコードを表示させるだけ、あるいは読み取るだけで支払いが完了するため、支払いまで早く使い勝手は非常に良いと思います。個人的に利用機会が多いのは、コンビニや自販機での利用です。その様なスマホ決済アプリで給与を受け取ることができるように整理をしている動きについて、今日は触れたいと思います。

news.yahoo.co.jp

給与についての法律

給与について労働基準法上は以下の通りとなっています。

(賃金の支払)

第二十四条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。

 (略)

そして、労働基準法施行規則第7条。

第七条の二 使用者は、労働者の同意を得た場合には、賃金の支払について次の方法によることができる。

 当該労働者が指定する銀行その他の金融機関に対する当該労働者の預金又は貯金への振込み
 (以下略)

これを見る限り、本来は給与は労働者に対して現金を直接手渡しで支払うことが原則で、例外的に厚生労働省が銀行口座への振込を認めているということになります。なお、この「銀行口座への振込」については、労働者との合意が必要ということになっています。入社したときに給与の振込口座を登録しましたが、そのときの内容に『給与を下記口座に振込を認めるものとする』などの表記になっていたのでしょうね。。。覚えていませんが。

(参考:賃金関係|厚生労働省

給与払いに求められる条件

さて、本題ですが、給与をスマホ決済アプリに支払うといった場合にどの様なことが考えられるのでしょうか。利用者側にとって気になるのは、「利便性」「安全性」がどうかという点です。

「利便性」について

上述の通り私はよくQR決済を利用していて、コンビニや自販機等、比較的少額のもので利用している傾向にあります。高額なものであれば、例えばクレジットカードであったりあるいは銀行からの振込、あるいは引落といったものも利用しています。これはお金を払う先が求める決済方法で支払っているという面もあります。

例えば家賃などは、銀行口座を設定して、そこから毎月自動で引落しをしてもらっています。あるいはクレジットカードでものを購入する際にも、そのクレジットカードの支払いを口座引落にしています。この引落先と給与の振込先を同じ銀行口座にしているから利便性がましています。これをしなければ毎回銀行口座間でやり取りをする必要がでてきます。実際に銀行口座間で資金を移動させている場合もありますが、やはり不便です。。。

これがスマホ決済に給与振込になった際にどうなるのでしょうか。例えば上記の家賃で言えば、家賃がスマホ決済で支払うことができるようになるのでしょうか。あるいは家賃を支払うために、スマホ決済のチャージ額を現金に変え、その後支払先口座に移動させる、といった処理が必要なのでしょうか。

安全性について

続いて安全性。銀行口座の場合、その預け先の銀行が破綻した際に1,000万円までが保護されるペイオフという仕組みがあります。

スマホ決裁業者(資金移動業者)も破綻時に返済をできる様に、受け入れている金額を供託することが義務付けられているのですが、給与振込も可能となれば、受け入れ金額が膨らむことになり、十分な金額が即時に供託されるかという問題が生じます。

そもそもPayPay株式会社などのスマホ決済の事業者は第二種資金移動業者として登録されているのですが、第二種は送金上限額が100万円という上限があります。残高上限も100万円となっている様です。(その他サービス内容によって、さらに引き下げている例が多い様です)

給与振込が行われるとこの上限値では不十分な可能性があり、そうなると今の資金保全の仕組みで大丈夫なのか(資金移動業者側でも実行できるのか)ということも気になります。

 

いずれにせよまだまだ検討しなければならないことが多いかと思います。