まなびの『び』

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絶好調から急楽したダブル・スコープ

楽今年5月ごろから絶好調の株価推移をしていたダブル・スコープが大きく方向転換して株価が下落しています。下図が今年1月からのダブル・スコープの日足チャートですが、5月頃から大きく株価は上昇していましたが、先週末より株価が大きく下落しています(連続ストップ安しているので見にくいですが。。。)。何があったのでしょうか。

ダブル・スコープの事業内容

ダブル・スコープはリチウムイオン二次電池のセパレータを製造・販売している企業です。リチウムイオン二次電池は、電池のプラス極部分である正極材、マイナス極部分である負極材、そしてその間でリチウムイオンが移動する電解液でできています。そして正極材と負極材が接触しない様、セパレータが存在します。リチウムイオン電池が安全に機能するために重要な部材を製造している企業となります。

近年の脱炭素化の流れからリチウムイオン二次電池の需要が高まり、2021年12月期は前期比で売上高が62.1%上昇、営業利益は黒字転換しました。2022年12月期はさらに好調を拡大を見込んでいる中、SBI証券が最大300万株を取得することを発表。第1四半期の進捗も好調でありつつ、韓国のダブル・スコープ連結子会社が韓国の新興株式市場に上場することも決まり、株価は力強く上昇していきました。

ダブル・スコープの株価推移

その様な絶好調であったダブル・スコープですが、大きく株価を下げていきました。

9月15日に高値3,175円をつけましたが、その後終値ベースで見ていくと、

9月16日2,479円(前日比▲500円:▲16.8%)ストップ安

9月20日1,979円(前日比▲500円:▲20.2%)ストップ安

9月21日1,579円(前日比▲400円:▲20.2%)ストップ安

3営業日連続でストップ安となりました。この間で36.3%も株価が下がったことになります。

株価下落の背景

9月16日に韓国メディアにて、上述の韓国子会社の上場について公方価格が当初想定を下回ることが報道されました。これをきっかけとして16日に下落が始まりました。ダブル・スコープはこの報道についてまだ交渉中で未確定である、旨をニュースリリースしました。しかし、9月20日に想定を下回る6万ウォンの公募価格となったことが正式に決定しました。これにより下落に拍車がかかることになりました。

ダブル・スコープ下落の余波(?)

さて、このダブル・スコープ株ですが、個人投資家に人気の銘柄ですが、信用買い残に注目するとかなり恐ろしいことがわかります。信用残は毎週好評されているのですが、9月16日時点で売り残5百万株、買い残18百万株となっており、買い残が大きく溜まっている状況にあります。信用取引は自分が利用していないため、このブログでは大きく取り上げていませんが、買い残というのは投資家が信用買を行っており、後日売らなければならない株式ということになります。

信用買を直近行った投資家にとっては、今回のダブル・スコープの値下がりは、

・即座に売却してこれ以上マイナスが膨らまない様にする。

・評価損拡大によって発生した追証を支払うことで保有し続ける。

の2択の選択を強いられることになります。

追証を支払うために他の保有銘柄を売却する可能性があり、その場合市場全体の売り圧力につながる可能性があります。