まなびの『び』

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イタリア総選挙の結果

今回はイタリア総選挙に関しての話題です。今年は世界各国で重要な選挙が多いのですが、今年はイタリアで第一党が入れ替わる結果となりました。イタリアでは今年7月にドラギ首相が辞任により、イタリア上院(元老院)、下院(代議員)両院を解散。これにより行われたのが先日の総選挙でした。

総選挙の結果について

選挙の結果第一党となったのは、「イタリアの同胞」とよばれる政党で、2012年に結党した極右政党です。ドラギ政権を批判してきたこの「イタリアの同胞」に、インフレなどに対する現政権への国民の不満の票が「イタリアの同胞」に集まりました。この他「イタリアの同胞」と連立するのは、同じく右派の「同盟」、「フォルツァ・イタリア」となります。

イタリアの課題とは

懸念されるのはその財政です。イタリアの政府債務残高はGDPに対して150%超とすでに高い水準。その中で今回の選挙において、保育所無償化、最低年金の底上げといった公約を掲げました。

イタリアは新型コロナウイルスからの復興のための基金を受けているのですが、このために構造改革を進めてきましたが、この構造改革も新政権のもとどうなるのか次第では、その復興基金も受け取ることができなくなります。

今年7月にEU中央銀行であるECBはインフレ対策として利上げに踏み切りました。その際に、国債価格が急落することに対してECBが国債の買い支えを行うことを発表しました。今回の右派政権の誕生により、EUとイタリアの関係性が悪化すれば買い支えが行われず、国家財政の破綻の可能性が出てきています。

市場の警戒感

イタリアの10年国債利回りは26日に一時4.72%まで上昇、債権価格は下落しました。債権利回りが上昇するということはその債権の信用度が下がるということになります。厳しい財政状況の中で信用力を維持するためにEUの顔色を伺いながら、といった政治の仕方になろうかと思います。とはいえ、それでは自身が批判をしていたドラギ政権と同じになってしまうため、「イタリアの同胞」がどのような政権運営をしていくのか非常に気になるところです。