まなびの『び』

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厚生年金の範囲が拡大。106万円の壁と130万円の壁

本日から10月です。2022年(4月〜3月)で見れば下半期が始まったということになり、節目となります。その中で変わるものとして今回取り上げるのは厚生年金です。

日本の年金制度は2階建てとなっており、1階部分が20歳以上60歳未満の国民が加入する国民年金です。そして2階部分が今回話題にする厚生年金で、会社員や公務員が対象となります。

これまでは従業員が501人以上の企業は、正社員だけでなく、一定の要件を満たすパート、アルバイトについても厚生年金の対象とすることが義務付けられていました。この501人以上という下限が、2022年10月以降従業員が101人以上と引き下がり、多くの企業が新たに厚生年金の加入が義務付けられるということになるということになります。

これにより老後に厚生年金を受け取ることができるということでいい面もあるのですが、一方で厚生年金の保険料の自己負担分が増えることで、現在の手取りが減るという場合もあります。

 

改めて今回厚生年金の加入として拡大するのは、

・従業員数が101人以上500人までの会社(501人以上はこれまでも対象)で、

・所定労働時間が20時間以上30時間未満(週30時間以上はこれまでも対象)の

・パート・アルバイト(正社員はこれまでも対象)

ということになります。

さらに条件として、2ヶ月以上を超える雇用の見込み、賃金の月額が8万8000円(年額106万円)以上、学生でない、の要件があります。

 

そもそも年収が106万円までであれば社会保険料は払う必要がありませんが、106万円以上130万円の方で会社が今回新たに厚生年金の加入対象になる場合は自己負担が発生することになります。こうなると例えば年収120万などであれば年収106万円とほぼ手取りが変わらないといったことになります。このため年収106万円未満で働くよう労働時間を短くしたいというニーズが生じやすくなります。

もう一つの対策としては、突き抜けて労働時間を増やして社会保険料を払ってでも手取りを増やすようにするか、ということになると思います。

 

国としては今後厚生年金の対象範囲を拡大して、社会保険料の回収を増やしたいのではないかと想像しています。どう働くか、を改めて見直すきっかけになっていきそうです。