まなびの『び』

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日銀黒田総裁の発言と、連合の賃上げ目標

今日は物価関連のニュースを2本。日銀総裁の国会での発言と、連合の方針についてです。

 

現在国会では衆議院予算委員会が行われていますが、そこで日本銀行黒田総裁が物価について発言をしています。

www.bloomberg.co.jp

足元日本で発生している物価上昇については、商品市況と円安により、輸入品の価格が上昇していることが原因であり、年末にかけて上昇していく可能性がある。

この物価上昇は年明け以降、プラス幅は縮小し、来年度以降は2%を下回る。引き続き金融緩和を継続する必要がある、としています。

 

野党から辞任すべきという問いもありましたが、黒田総裁は辞任については否定しました。黒田総裁は2013年3月20日に辞任した白川氏の後任として就任しました。日銀総裁は任期5年で再任も可能で、黒田総裁は2023年4月に任期満了を迎えます。今後後任人事がさらに活発化されることになります。

なお、日銀総裁は任命権は内閣にありますが、国会両院の同意が必要となります。金融緩和を続けるのか、否か、選択を迫られることになります。

 

続いて、日本労働組合総連合会(連合)にまつわるニュースです。2023年の春季労使交渉で、ベアと定昇をあわせて5%程度の賃上げを求める方針とのことです。

www.nikkei.com

現在の物価高の影響とこれまでの賃上げが十分でないということを踏まえて、目標を高くおいたものになります。

 

海外では人件費がインフレの主要な背景になっていますが、黒田総裁の発言にもあったとおり、日本の場合は輸入品によるインフレの影響が大きく、今のところ人件費は大きく上昇していません。だからこそ数値上だけで見ればインフレ率は海外よりも低いわけですが、仮に連合の計画通りに賃上げが達成されたとしても結局はそれがコストオンして物価をさらに引き上げる効果にもなりかねないのが事実。ただ賃上げをすればよい、ではなく、生産性向上をセットで考えなければ、企業の業績悪化する一方での物価の上昇というスタグフレーションを招く可能性もあります。

そうならないためにも、生産性の向上という観点で、新しい産業構造への改革と、それに向けたリスキリングという道筋を建てて、企業、労働者双方の覚悟が必要なのかと思っています。