まなびの『び』

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INPEX上方修正するも。。。

11月8日に決算発表したINPEX。今期3度目の業績見通しの上方修正を発表しましたが、9日の市場の反応はマイナスでした。内容を見ていきたいと思います。

 

2022年12月期第3四半期の累計業績は、売上高は前年同期比+100.0%つまり2倍の1,698,743百万円、営業利益は+127.6%、経常利益が+140.5%、最終利益が+94.2%とそれぞれ増益となっています。

原油に関して見ると、売上高が112.2%増でした。原油価格は、価格参考としているブレント原油相場が昨年同期比50.8%増と市場価格が高騰していることが影響し、販売単価が海外向けが52.2%増。販売量についても18.1%増、ここにさらに円安の効果も加わり、結果、原油の売上は112.2%増とINPEXの業績を大きく牽引しました。

 

第3四半期累計の業績は絶好調でしたが、直近の原油価格及び為替の市場価格も見直し、業績を上方修正しています。

それぞれ前回発表の見通しに対して、売上高が5.5%、営業利益が9.5%、最終利益が14.3%の上方修正としています。

 

ということで、久しぶりにブレント原油を見てみます。上図が2022年入ってからのブレント原油の推移ですが、ロシアによるウクライナ進行により、2月末から3月にかけて大きく上昇。その後高値圏で推移をした後、6月頃から9月頃まで下がり、以降緩やかに上昇傾向になりつつある様に見えます。

INPEXが今回修正した見通しで見てみると、

上期平均(1~6月)実績:104.9ドル/バレル

第3四半期平均(7~9月)実績 :97.7ドル/バレル(これまでは95.1ドル/バレル)

第4四半期平均(10~12月)予想:85.0ドル/バレル(これまでは75.0ドル/バレル)

となっています。

10月に入ってからブレント価格を見てみると、おおよそ1バレル85ドルというのが下限で、これまでは90〜92円くらいでしょうか。

また、為替についても下期平均を139.1円/ドル(これまで126.9円/ドル)と見直しています。こちらも10月以降の下限がおよそ143.5円ほどです。

 

原油価格については、今後の経済見通しで需要が下がり、価格が急落することも考えられますが、それでも保守的でまだ上ブレする余地を残した見通し修正だったかと思います。

 

と言った発表でしたが、INPEXの株価は下落しました。

 

前日終値1,645円に対し、取引が始まると直後に1,570円まで一時的に下落。その後戻して1,596円(▲2.9%)で取引が終了しました。

確かに今季好調ではあるものの、株主還元としての増配などの発表がなかったことが背景にあるのではないかと思います。これはその前日の三菱商事と同様かと。

 

また、今季は原油価格の高騰という一時的なものであり、今後の景気後退に伴う原油需要の減少を想像すれば、次年度以降の株主還元が縮小される可能性もあり、一旦手放すという市場の判断もあったのではないでしょうか。