ロシアからLNGを輸入できなくなる可能性
国内の損害保険会社がロシア・ウクライナ海域での戦争による船舶の沈没に対する保険を取りやめるといった報道がはいってきました。これによりロシアのサハリン2から日本に輸入している液化天然ガスLNGの供給量が逼迫するといったリスクが懸念されています。
これは、国内の損害保険会社が海外の再保険会社と契約する、同リスクの「再保険」契約を結ばれないこととなったためで、再保険会社がロシア関連の契約について消極的であることが背景の様です。再保険がなければ、国内の損害保険会社がリスクを丸抱えする必要がでてくるため、その様なことができないと判断した損害保険会社が補償を削減することとしたものです。
再保険会社が契約を取りやめたことで、戦争による攻撃を輸入タンカーが攻撃を受けた場合、どうなるか。
・海運会社
・保険会社
・国
考えられるプレーヤーとしてはこのあたりかと思いますが、日本の経済安全保障上これらどこがリスクを負担をする必要があります。この報道でいうと、保険会社がリスクを抱えきれないと判断をしたということになります。
ここで国、経済産業省の資源エネルギー庁と金融庁が損害保険会社への引受を要請したという報道がありました。保険会社がどのように判断をするでしょうか。
一方で、Bloombergの記事(戦争保険なしでもロシアLNG輸入へ、買い手が補償提供検討-関係者 - Bloomberg)によると、電力やガス会社などの企業が事故のときに海運会社に補償することを検討しているとしています。これらの企業はLNGの供給がとまり電力逼迫してしまえば、代替燃料を調達する必要がでてくるためそれが大幅なコスト増となってしまいます。このコスト増のリスクを鑑みて、海運会社への補償することもメリットがあると考えている様です。
損害保険会社が海運会社への保険を提供できなくなるのは1月1日からということで、すでにもう数日となります。事態は急を要するとはこのことですね。
12月30日追記
損保大手3社が、ロシア海域での戦争のリスクを補償する船舶保険の引受を継続することについて29日に報道されました。再保険会社が一部を補償する見通しがたったということです。