まなびの『び』

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アメリカGDP▲0.9%のマイナス成長 ドル円は一転円高へ

前回の記事に引き続きアメリカ経済の話題ですが、アメリカで4-6月期のGDP(実質国内総生産)の速報値が発表されました。前年同期で▲0.9%とマイナス成長となり、これが前回発表(1-3月期)に連続した2期連続となりました。

www.bloomberg.co.jp

この2期連続のマイナス成長は「テクニカルリセッション」と言われ、景気後退局面になったとされています。GDPの7割を占める個人消費は1.0%増加(1-3月期の1.8%増加から縮小)ということで、個人の購買力低下が強く、これに対して利上げによるインフレを行っているものの、

・企業の設備投資が0.1%減少(1-3月期は10.0%増加)

・住宅投資は14.0%減少(1-3月期は0.4%増)

と利上げによる成長のブレーキの影響がでている可能性があります。住宅としについては建築価格の高騰もあるとは思いますが、住宅ローンの金利上昇の影響も大きいとされています。

 

実は、事前にアメリカの政府側から『テクニカルリセッションは必ずしも本物のリセッションとは言えない』という様な発言がされており、今回の発表についてはある程度予想ができる内容でした。

www.bloomberg.co.jp

そのため、通常であれば景気後退の発表ですから、株価にとってマイナスとなってもよいと思えるのですが、ダウ平均株価はむしろ上昇。景気後退の懸念で、今後の利上げペースが緩やかになるのでは、という期待が入ったとされています。

 

そして、驚くべきはドル/円の推移です。前回書いた記事でもFOMCの利上げスピードの減速が示唆されると、円高方向へと転じたのですが、そのスピードはさらに加速されました。

直近1年間のドル円の推移です。改めて過去からの推移を見てみると、3月以降に急激に円安となっていきました。3月1日は1ドル115円近辺だったのですが、7月14日には139円に到達。4ヶ月半で20%も円安となったたことになります。それに対し7月29日には132.5円まで円高となり、この15日間で4.7%の円高となりました。

今後の利上げのペースの減速する観測により、日米の金利差の拡大がこれ以上されないということから、ストップがかかったことになります。

直近ではアメリカ株に対して日本株は比較的強かったのは、円安による輸出企業の好調期待があったこともあると思いますが、今後の為替がどうなるか次第で、日本株にとってダメージになってきます。

実際に29日の日中の日経平均ドル円(灰色の線)の値動きを見ると、12時30分に円安が進行し、日経平均は急落しました。