まなびの『び』

投資運用、業界研究、時事、その他学んだことを

2022年の相場を振り返ると。

昨日の記事で2022年の相場振り返りが終わりました。通して2022年がどんな年だったか振り返ります。

市場は織り込みしながら動きますので、マイナス要素があったとしてもその手前にある程度想像ができるものであれば、それよりも前のタイミングで下落していきます。それがよく分かる1年だったと思います。

経済にとって最も影響の大きかったのは、アメリカ連邦準備理事会による利上げかと思いますが、政策金利が0.25%引き上げとなったのは3月。ですが1月にはこの政策金利の引き上げは織り込み始めていました。

アメリカのインフレは強く、6月会合から11月会合まで4会合連続での0.75%の利上げを実施。急速な利上げを行ってきました。その結果もあってか、アメリカの消費者物価指数の伸びは落ち着きを取り戻しつつあります。

manabinobi.hatenablog.com

12月には0.50%と利上げスピードを減速。2023年は利上げスピードを落としながら落とし所を探っていく形になるかと思います。

 

日本にとっては為替の動きが大きい年でした。1-2月まで115円程度で推移をしていましたが、10月の151.9円まで下落、その後は円高に進むという展開でした。

上述の利上げを進めるアメリFRBに対して、日本銀行は一貫してゼロ金利政策の継続を続けました。これに投機筋の動きも加わり、円安ドル高が進みました。これに対して、日本も為替介入を実施しました。

アメリカの利上げの減速が意識され始めるに従い、円の下落も一服。年末には長期金利の変動の許容する幅をプラスマイナス0.25%から0.50%へ拡大することを発表しました。これにより長期金利は上昇。頑なに動かなかった日本銀行が動き始めたと市場は騒然とし、円高方向に進みました。

総じて言えば円安が進んだ1年でしたが、これにより2つの側面で日本経済に影響を与えました。一つは輸出企業にとっては海外売上が好調でした。各企業の決算発表では想定していたドル円相場を見直すことで決算見通しの上方修正が進みました。

一方で、原材料やエネルギーの面からすると、輸入や物流にかかるコストが上昇しました。特に原油価格については、ウクライナ侵攻を行ったロシアへの経済制裁もあり、供給面で不安も生じたため、価格が高騰する場面もありました。日本にとっては原油価格そのものの上昇と円安とのダブルパンチといった状況となり、各企業の利益面を圧迫。これらコストを価格転嫁する企業も増え、日本の消費者物価指数も11月には前年同月比3.7%の上昇と40年ぶりと歴史的な伸びとなっています。

きっかけ資源高、円安といった理由での物価上昇ですが、これを企業が人件費を上昇させられるのか、人件費起因の消費者物価指数の2.0%上昇に繋げられるのかが今後の焦点のひとつにもなります。