まなびの『び』

投資運用、業界研究、時事、その他学んだことを

ロシア産原油の輸入価格上限の設定とヨーロッパへの天然ガスの供給停止

ロシアのウクライナへの侵攻に対して、ロシアへの経済制裁を行っているアメリカやヨーロッパ諸国、日本。今回、G7において、ロシア産の石油に対して輸入価格に上限を設定することを決めました。

ウクライナ侵攻以降、ロシアは経済制裁の影響で石油の輸出量は減っているものの、世界的な供給不足の懸念から石油価格が高騰し、外貨獲得ではプラスに働いてしまったということが、今回の上限設定の背景となっています。反対に石油価格上昇が経済制裁を掛けている側へ高い物価高をもたらしました。「諸刃の剣」が、自分たちがより多く傷ついていた、その様な結果にも見えます。

今回の上限値の決定は、ロシアへの経済制裁をより実効性をもたせるものでhttps://blog.hatena.ne.jp/manabinobi/manabinobi.hatenablog.com/edit?entry=4207112889914679355、これによりロシアの戦費を削ぐことを狙ったものです。

上限設定に賛同する国に所属する保険会社は、上限を超える価格で取引をした石油に対して、保険の提供ができなくなるとのことです。仕組みがわかりにくいですが、輸送にかかる保険を提供できなくして実質的に上限を超える価格の石油の輸送自体を止めることの様です。

実行されるのは12月からということになりますが、今回の上限値設定で石油価格は落ち着くのでしょうか。結果として、ロシアを除く産油国からの輸入に対しての価格はさらに上昇するかもしれません。また、ロシアを支援する国が上限値よりも高い価格で購入し、ロシア産石油を自国の石油として販売することで、利益を得るオイルロンダリングも十分に考えられます。どのように実効性を高めていくのでしょうか。

 

さて、ロシア側による対抗措置なのか、実際のところはわかりませんが、ヨーロッパへの天然ガスの圧力がかかっています。

以前もこのブログで記事にしているノルドストリームによるヨーロッパへの天然ガス供給ですが、再び停止しています。保守点検により8月31日から3日間の停止を行うとしていました。ここまでが前回記事の通りです。

manabinobi.hatenablog.com

予定通りに供給再開される見込みであるといった報道もでたのですが、一転して供給するためのガスタービンから油漏れが見つかったことを理由に、供給再開の延期を発表しました。

天然ガスはヨーロッパにとって、特にドイツにとっては、エネルギー源として重要な資源となります。これが止められることによって、特にエネルギー需要の高まる冬にかけて電気の供給不足が発生する可能性があります。

日本でもつい先日、三井物産三菱商事がサハリン2の新しい枠組みについて参画することを表明し、ロシア政府に承認されましたが、こちらも今後どうなるか確定的なことはまだないはずです。何か別のことを理由にLNGの供給をストップすることも考えられます。