石油の減産を決定。
10月以降の原油の増産目標について、石油輸出国機構とその他の産油国の「OPECプラス」の会合が5日に開かれました。エネルギーの問題が非常にセンシティブになる中で、かなり重要な物となってきました。
これまでの増産規模について
これまでOPECプラスは段階的に増産を行ってきていました。7,8月の増産幅は日量64.8万バレルでした。石油価格は基本的には需給バランスで決まっているため、供給量つまり産油国の増産が多くなれば価格が下がることになります。
アメリカのインフレの原因の一つである資源価格高騰を抑えるため、バイデン大統領が7月にサウジアラビアに訪問し、増産を呼びかけました。この直後、8月に開催されたOPECプラスで9月の増産幅が日量10万バレルで決定されました。
今回のOPECプラスの会合で決定されたもの
さて、今回の発表は、10月は日量10万バレル「減産」でした。これまでの増産傾向から減産に転じたことになります。また、9月の増産幅10万バレルを打ち消す様な内容となりました。
減産となった背景
なぜ今回減産を発表下かといえば、次の2点が挙られています。
◯今後の石油需要の減退
上で記載した通り、原油価格は需給バランスできまりますが、将来的に原油需要が停滞することが見込まれるために、価格を安定させるために供給量を減らしたという点です。この需要の停滞とは背景に世界的な景気減速(リセッション)への警戒を指します。
アメリカでは高いインフレ率抑制のために利上げを行っており、経済が圧迫されており、ヨーロッパでも同様ですがさらにロシアからのエネルギー供給が遮断される懸念があり、アメリカよりもより警戒感が高いと思います。また、中国では新型コロナウイルスによるゼロコロナ政策でのロックダウンで生産能力が落ちています。さらに、新興国ではアメリカの利上げにより自国通貨価値が下落し通貨危機の危険性も高まっており、こちらも世界経済全体へ甚大な影響を与える可能性があります。
経済が停滞し、生産量が落ちればエネルギーの使用量が減り、原油の需要が下がるということです。
◯イランに対する制裁解除
イランが原子爆弾の製造への開発を行っているとして、アメリカはイランに対して原油の全面禁輸の制裁を行っています。この制裁を解除することで、イラン産原油の供給が再開されれば、その分供給量が増えるため、価格が下落します。産油国側としては好ましくないため、減産をした、というものです。
アメリカでは11月に中間選挙が予定されており、バイデン大統領にとってはこれに向けて苦境に立っております。問題となるインフレへの対策として原油価格をへらすために制裁解除は十分ありえるともされています。
まとめ
今回減産に至ったわけですが、その減産量は日量10万バレルと8月に供給量を戻すといったものでした。産油国側としても様子見、といったところなのではないでしょうか。とはいえ、今後の大幅減産も含めたメッセージなのかとも思います。