まなびの『び』

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日銀総裁人事案が国会に提示される

日銀総裁人事については、先日雨宮副総裁の記事が出てきていました。これについて前回市場の反応を含めて記事としましたが、実際に政府が14日に国会に提示されたのは、植田和男氏でした。

 

植田氏は経済学者で東京大学の名誉教授です。両院の同意を経て正式に就任となれば、日銀出身者・大蔵省出身者を除いた民間出身としては、1964年に就任した前職三菱銀行頭取の宇佐美氏以来。経済学者としては初の日銀総裁ということになります。

1998年に日本銀行政策委員会の審議委員に就任し、当時バブル経済の崩壊後の情勢下におけるゼロ金利政策や量的金融緩和政策の導入について関わった経歴を持っています。

日本経済新聞の記事(日銀総裁に植田和男氏、政府提示 副総裁に氷見野良三、内田真一両氏 - 日本経済新聞)によると、

23年2月10日には都内で記者団に「現在の日銀の政策は適切だ。現状では金融緩和の継続が必要だ」と述べた。

とあり、現在の黒田総裁下における日本銀行の金融緩和政策を引き継ぐ方針であることになります。

Bloombergの記事(次期日銀総裁に植田氏、市場との対話で問われる手腕-政府が提示 - Bloomberg)も参照すると、

ブルームバーグが関係者から入手した政府の国会提出資料によると、植田氏の任命理由は「金融・経済分野について高い見識を有し、国際的にも高い評価を得ている」としている。

とされています。同じくBloombergの記事(次期日銀総裁のサプライズ人事、海外ストラテジストらの声 - Bloomberg)の記事を見ると、そのサプライズ選出による市場の反応を含めて、いくつか評価があります。

この記事と上のドル円の5日間のチャートを並行して見てみます。植田氏起用の一方が流れたのが先週金曜日10日17時頃。このとき、ドル円は大きく円高に触れました。ハト派(金融緩和側)と見られていた雨宮氏ではない、という報道で、ハト派ではないタカ派(金融引き締め側)にふれることを見据えて円高方向に触れます。その後植田氏の経歴を踏まえて円安に戻っていったという流れが想像されます。

 

さて、国会両院での同意を得られれば4月に誕生する植田新総裁。現状評価として現在の金融政策を肯定する発言をしている様ですが、今後任期は5年あります。雨宮氏の記事の際にも書きましたが、現在の日銀の抱える課題である異次元の金融緩和政策の出口戦略、日銀の国債保有割合が高い状況について、今後どのような舵取りをするでしょうか。