まなびの『び』

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植田体制の日本銀行がスタート。果たして今後は。

植田和男氏が日本銀行の総裁に就任しました。10日に早速就任後初めての記者会見がありました。今後の方針として重要な発言となります。

 

植田氏は、これまで行われてきた金融緩和政策は維持する方針を発言し、また国債の買い入れにより長期金利を誘導するイールドカーブ・コントロール(YCC:長短金利操作)についても、継続を支持。これら政策によって2%のインフレ目標の達成に向けて進むことになります。つまり、黒田総裁と方針は変わりません。

一方で、これら政策について、2%の見直しについても触れています。

基調的なインフレ率が本当に安定的、持続的に2%に達する情勢かどうかを見極めて、適切なタイミングで正常化にいかなければいけないし、それが難しければ副作用に配慮しつつ持続的な緩和の枠組みを探る。長い目で点検や検証があってもいいと思う。」(植田和男日銀総裁「理論・実務の両面で尽力」 就任会見要旨 - 日本経済新聞

より)

 

これによって当面の緩和政策を維持することが前面に出されたことで、特に為替市場が反応しました。

直近の1ヶ月のドル円チャートですが、赤い楕円でマークした円安がおおよそ植田新総裁の記者会見のタイミングとなります。20時ごろには132.3円ほどでしたが、23時過ぎには133.8とおよそ1.5円ほど一気に円安が進むことになりました。それだけ、今回の総裁の交代により方針の転換が期待されたものと言えます。

ただし、上述の引用の通り、植田総裁は今後の点検、検証については肯定しているため、落ち着いた後の政策転換の余地を残しています。この時期については触れていないため、実はすぐそこという可能性もあります。

やはり気になるのは、これまでの金融政策、とりわけYCCによる債券市場が正常に機能していない(国債の発行残高の過半を日銀が保有している)状況、また株価を押し上げたETFの買い入れは、売却しきれないほどになってもいます。これらの出口をどうするか、非常に気になるところです。