味の素が急騰。業績予想修正と累進配当の導入
3月1日の東証プライム市場において味の素株式会社の株価が急騰しました。
2月28日の終値4,018円に対して、3月1日の終値は4,392円と374円(9.3%)と窓を開けて大きく上昇しました。
急騰した背景として、2月28日に発表されたIRにあります。
まずは2023年3月期の業績予想の修正について。
2022年11月に発表された当期利益は830億円と過去最高益の予想でしたが、ここから900億円とさらに70億円の上乗せとなりました。
この当期利益は遊休資産である固定資産の一部の売却益を計上したものです。またアメリカ子会社ののれんを減損損失を計上しています。行って来いで70億円となります。
また、発行済み株式総数の1.34%に当たる約720万株の償却も発表しています。
そして中期経営計画の発表です。
中期経営計画の中で、グループが事業を通じて得た財務価値である経済価値指標と、グループが提供・共創したい社会価値としての社会価値指標をASV(Ajinomoto Group Creating Shared Value)指標とするKPIを設定して、ASV経営へ変革をするとしています。
経済価値指標としては、2022年度予想が11%であるROEが2025年度には18%、2030年度には約20%をKPIとしておいています。ROE(自己資本比率)は経営効率を示す指標であり、投資家が注目している指標です。
そして、この中期経営計画の中で株主還元について以下のスライドを参照します。
累進配当政策を導入するとして、減配は実施せず配当維持または増配のみとすることを表明しました。配当を決定するにあたり事業利益をベースに決定し、自己株取得もあわせて総還元性向50%以上の方針とする、としています。
この累進配当政策は、減配しないということで、配当狙いの投資家にとっては安心感を与えるものであり、好感されます。
ということで、総じて好感される内容でした。この結果として株価が急騰したということになります。