まなびの『び』

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丸紅(8002)の決算発表

商社株から本日の決算分析は丸紅です。

 

○丸紅の事業内容

丸紅は総合商社事業で、輸出入、国内取引、資源開発等、その事業範囲、取り扱い商品は多岐に渡ります。有価証券報告書から各セグメントの取引商品・サービスを見てみると、

・ライフスタイル

国内及び海外において、衣料・フットウェア・生活用品・スポーツ用品等、消費者のライフスタイルに係る商品を幅広く取り扱い、商品の企画・製造・卸売/小売販売から事業投資・運営まで様々な事業を展開しております。

・情報・不動産

国内及び海外において、ICT分野では、システムソリューション事業、ネットワーク事業、モバイル販売事業等、不動産分野では、住宅開発事業、再開発・建替事業、アセットマネジメント・プロパティマネジメント事業等、物流分野では、フォワーディング事業、物流センター運営事業等、保険分野では、保険仲介事業、キャプティブ事業等、幅広い分野に取り組み、多様なサービスを提供しております。

・フォレストプロダクツ

国内及び海外において、製紙原料・板紙・衛生紙・洋紙・バイオマス燃料等の製造・販売、植林事業への参画及び住宅資材の販売を行っております。

・食料第一

国内及び海外において、乳製品、砂糖、加工食品・飲料及びその原料、業務用食材、農水産物等、食に係る様々な商品を取り扱っており、原料調達から、高付加価値商品の生産・加工事業、流通機能を活かした卸・小売事業に至る幅広い事業を展開しております。

・食料第二

国内及び海外において、飼料穀物、大豆、小麦等、穀物・畜産分野に係る様々な商品を取り扱っており、穀物集荷事業から穀物サイロ事業、配合飼料製造事業、畜肉の生産・処理加工・販売事業に至る幅広い事業を展開しております。

・アグリ事業

アグリインプット事業分野では、米国、英国、南米、アジア等の地域において農業資材販売事業を展開しております。北米穀物事業分野では、北米において穀物・油糧種子の集荷・販売事業を推進する一方、新分野の開拓としてスペシャリティ商品の取扱拡大に取り組んでおります。

・化学品

石油化学品等のトレード分野での需給調整機能の高度化や、蓄電池・ディスプレイ・太陽光発電機器に代表されるエレクトロニクス等のスペシャリティ分野でのソリューション提供型ビジネスの深化を国内外で推し進めております。また、飼料添加剤ディストリビューターのOrffa International Holdingを軸に人口増加に伴い持続的な成長が期待できるライフサイエンス分野での事業拡大に注力するとともに、AIを活用した画像診断をはじめとするデジタルヘルス分野に取り組んでおります。

・エネルギー

国内及び海外において、新エネルギー関連事業(水素、アンモニアバイオ燃料、環境価値取引等)、天然ガス事業(生産、液化、トレード)、石油・ガスの探鉱・開発・生産事業、石油・LPGのトレード・物流・マーケティング事業、原子力事業(ウラン鉱山開発、原子燃料サイクル、関連機器販売・サービス)等の幅広い分野に取り組んでおります。

・金属

鉄鋼・非鉄軽金属の原料資源の海外における開発事業、及び非鉄軽金属の製造・加工・販売、鉄鋼・非鉄軽金属の原料資源やセメント関連資材の売買、並びに鋼板・鋼管・特殊鋼等の鉄鋼製品全般の生産・加工・販売事業等を行っております。

・電力

国内及び海外において、発電事業並びに電力小売事業を含む電力サービス事業からなる多彩な電力事業における開発・投資・保守・運営・資産維持管理に加え、発電・送変電機器の納入及び工事請負を行っております。

・インフラプロジェクト

国内及び海外において、エネルギー関連インフラ、交通インフラ、上下水道・海水淡水化及び脱炭素・低炭素・循環エコノミー関連分野を含む産業プラントの各分野での開発・投資・運営に加え、関連設備の納入・工事請負・運転維持管理を行っております。また、海外インフラ資産を対象としたファンド運営事業を行っております。

・航空・船舶

国内及び海外において、航空機・防衛宇宙関連機器等の輸出入、並びにこれら関連商材を取り扱う卸売・小売・製品開発・各種サービス等の分野への事業展開・投融資、また、貨物船・タンカー・LNG船等各種船舶の取引仲介・ファイナンス保有・運航・管理等の事業を展開するとともに、船舶関連資材の取扱いを行っております。

・金融・リース事業

国内及び海外において、総合リース、自動車販売金融、航空機リース、航空機エンジンリース、冷蔵冷凍トレーラー・商用車のリース及びレンタル、貨車リース、プライベートエクイティファンド事業、インフラファンド事業等を行っております。

・建機・産機・モビリティ

国内及び海外において、建設機械・鉱山機械・自動車・タイヤ及びコンベヤベルト等のゴム資材・産業機械・工作機械等の輸出入、並びにこれら多様な商材を取り扱う、卸売事業・小売事業・製品開発・各種サービス等の分野への投融資を幅広く行っております。

・次世代事業開発

中国子供教育、次世代小売、スマートシティ・インフラ、新技術、オフショアDX、医薬・医療機器、医療サービス、eスポーツ・メディア、ウェルネス・ビューティー、その他高成長領域等、今後飛躍的な市場成長が見込まれ、これまで当社として十分な取り組みができていない領域において、当社が有する幅広い事業・機能・ネットワークとの掛け合わせや、世の中の最先端のビジネスモデルを先取りすることで新たなビジネスモデルの開発・構築を推進しております。

・その他(本部・管理等)

グループファイナンス及びグループ会社向けの財務・金融業務等を行っております。

 

丸紅の特徴としては、やはり食料分野(食料第一、食料第二、アグリ事業)にあるでしょう。いわゆる食料品だけでなく、飼料や肥料にも強みを持っています。

 

○丸紅の業績推移

丸紅の2022年3月期の業績は、売上高が34.4%の増収、営業利益が101.0%、最終利益が90.1%の増益と大幅な増収増益を発表しました。

セグメント別に見るとアグリ事業が大きく伸び、1兆2,922億円の増収となっています。

売上総利益は、旺盛な農業資材需要及び資材価格上昇を的確に捉えたGavilon肥料事業及びHelena社の増益により、前年度比894億円(45.0%)増益の2,881億円となり、営業利益は前年度比576億円(112.5%)増益の1,089億円となりました。

その他、エネルギーセグメントにおいても大きく伸長し、

売上総利益は、原油・ガス価格の上昇等に伴う石油・ガス開発事業の増益等により、前年度比297億円(79.6%)増益の670億円となり、営業利益は前年度比308億円(866.0%)増益の343億円となりました。

経営環境については、以下の通り評価しています。

米国においては新型コロナウイルス感染症等の影響で個人消費が一時抑制され、中国においては厳格な防疫措置や電力不足が景気の重しとなる局面がみ
られましたが、いずれも比較的力強い景気拡大が続きました。

一次産品価格については、需給引き締まりを背景とした上昇基調のなか、ロシア・ウクライナ情勢の緊迫化を受けて多くの商品が急騰しました。3月には、WTI原油が2008年以来の高値まで上昇し、銅、原料炭、アルミニウム等が過去最高値を更新しました。鉄鉱石は上半期に過去最高値を記録した後、中国政府の鉄鋼生産抑制策を受けていったん下落しましたが、再び上昇しました。

と、直近のコモディティ価格の上昇が商社銘柄に追い風となっていることがよくわかります。

 

2023年3月期については、最終利益を4,000億円(2022年3月期比▲5.7%)と見込んでいます。

中国では新型コロナウイルス感染症の局所的封じ込めを目的とした厳格な規制が消費を抑制する可能性があります。米国では良好な雇用環境に支えられて比較的堅調な経済成長が持続するものの、財政政策による景気押し上げ効果の剥落等により景気拡大のモメンタムは弱まるとみられます。また、ロシア・ウクライナ情勢を受け、同地域と経済的関係が深い欧州を中心に経済の先行き不透明感が強い状況が続くほか、一次産品価格の高止まりにより世界の多くの地域で物価上昇率が高い状態が継続し、消費や投資の重しとなる懸念もあります。

この様に経済情勢は今後成長の鈍化、消費の停滞を見込んでいるのが印象的ですが、実際にどのような銘柄にも当てはまりやすい懸念材料になりますので、今後の動向はよく確認したいところです。