まなびの『び』

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日本精工(6471)〜風力発電関連も、軸受製造〜

風力発電設備関連として、風量発電装置の部品の一つ軸受を製造しているメーカーの日本精工(6471)を見てみましょう。

 

日本精工の事業セグメント

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日本精工のセグメントは産業機械事業と自動車事業の2つのセグメントに分かれています。

産業機械事業として一般産業向けの軸受、精密機器関連製品の製造・販売を行っています。

自動車事業では、自動車メーカー、自動車部品メーカー向けの軸受、ステアリング、自動車変速機用部品の製造・販売を行っています。

軸受(ベアリング)とは、機械において回転時の軸部分の摩擦を減少させるための部品のことです。これがあることで、エネルギーロスが減り、静音化、部品の長寿命化などの効果も得られます。

日本精工はこの軸受において国内シェア1位、世界シェア3位という企業となります。上で触れている自動車や、産業用モータ、工作機械向け、医療機器、建設機械、事務機器、半導体製造装置向けなど様々な用途用の軸受を製造してます。

そして、風量発電機向けのものは、その装置の巨大さ、重量から軸受も巨大なものである必要があり、安定的に


供給できる軸受メーカーは日本精工を含む6社しかない、とのことです。風力発電は長期間の運用が必要ですし、また交換が容易ではないため、その頑丈さも重要な要素となります。

 

余談ですが、軸受については、子どものときにミニ四駆のパーツで初めて触れたのを記憶しています。当時のこどものお小遣いで買える程度の金額のもので精度がどれほどかわかりませんでしたし、むしろ重さによるデメリットが大きいのでは?といった話もあった記憶が、、、。

 

日本精工の業績推移

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日本精工は昨年2021年3月期は非常に厳しい決算でした。コロナ禍による世界的な需要停滞から、企業の設備投資が進まず低迷しました。特に自動車市場での生産台数減少が大きく影響しました。

これに対して、今期は設備投資が急激に回復し、特に工作機械、半導体製造装置向けが回復しています。しかしながら、11月1日には、半導体供給不足に伴う自動車の減産による自動車向け部品への影響、原材料価格、輸送費用コスト上昇により、最終利益21.1%の下方修正をしています。

 

日本精工の株価推移

 

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今年の日本精工の株価は3月をピークとして、8月まで下降、その後横横する展開、直近の荒れた日本市場で一段下がったイメージですね。11月に下方修正をしていますが、そこまでインパクトなく織り込み済みだった様子です。

洋上風力発電事業者に選定された三菱商事(8058)という企業

今回は洋上風力発電事業者に選定された三菱商事についての銘柄分析となります。

 

三菱商事の事業セグメント

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2020年の有価証券報告書によると、三菱商事の事業セグメントは以下10のセグメントに分かれています。

天然ガス」:北米、東南アジア、豪州、ロシアなどにおいて、天然ガス原油の生産・開発事業、液化天然ガス(LNG)事業などを行っています。

「総合資材」:自動車・モビリティや建設・インフラなどといった対面業界において、炭素、鉄鋼製品、機能素材など多岐にわたる素材の販売取引、事業開発、事業投資を行っています。

「石油・化学」:原油、石油製品、LPG、エチレン、メタノール、塩、アンモニア、プラスチック、肥料など幅広い石油・化学関連分野において、販売取引、事業開発、投資などを行っています。

「金属資源」:原料炭、銅、鉄鉱石、アルミといった金属資源への投資・開発などを通じて事業経営に携わると共に、グローバルネットワークを通じた鉄鋼原料、非鉄原料、製品における質の高いサービスや機能を活かし、供給体制を強化しています。

「産業インフラ」:エネルギーインフラ、産業プラント、工作機械、農業機械、鉱山機械、エレベーター、エスカレーター、船舶、宇宙航空関連機器など幅広い分野における事業及び関連する取引などを行っています。

「自動車・モビリティ」:乗用車・商用車の販売や販売金融を中心に、生産、アフターサービスも含め一連のバリューチェーン事業に深く関与しています。また、ヒトやモノの移動に関する課題を解決するモビリティ関連事業に取り組んでいます。

「食品産業」:食糧、生鮮品、生活消費材、食品素材などの「食」に関わる分野で、原料の生産・調達から製品製造に至るまでの幅広い領域において、販売取引、事業開発などを行っています。

「コンシューマー産業」:小売・流通、物流、ヘルスケア、衣料、タイヤ他の各領域において、商品・サービスの提供、事業開発などを行っています。

「電力ソリューション」:国内外の産業の基盤である電力関連事業における幅広い分野に取り組んでいます。具体的には、発・送電事業、電力トレーディング、小売事業や発送電設備販売に加え、リチウムイオン電池の製造や、無電化地域での分散電源事業等の電池サービス事業、水素エネルギー開発等を行っています。

「複合都市開発」:都市開発・不動産、企業投資、リース、インフラなどの分野において、開発事業、運用・運営を行っています。

 

川上(原油や金属資源等の資源や食品の原材料)から川中(製造機械等)、川下(ユーザーが購入する商品)まで様々な事業への投資による事業展開を行っています。子会社・持分法適用会社は独断と偏見的に代表的な企業を挙げると、ローソン、三菱自動車、TOYO TIRE、伊藤ハム米久ホールディングス、三菱食品千代田化工建設日本KFCホールディングス、リチウムエナジージャパンなどなど。

 

今回の洋上風力発電事業選定に関していえば、三菱商事はヨーロッパで洋上風力発電の運営も既に取り組んでいます。2020年にはオランダのEneco社に中部電力と共同出資を行い、ベルギーの洋上風力発電事業へ参画しています。

日本は化石燃料の輸入国ですが、その化石燃料開発に携わる三菱商事は現在の脱炭素の方向性からは逆風となります。しかし、今回の3区域とも洋上風力事業者に選ばれたことは、企業の脱炭素に取り組むイメージへの大きな一手だと思います。

 

三菱商事の経営指標

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冒頭が長すぎたのでさらっと行きます。三菱商事は昨年、大きく減益をしましたが、直近では、資源高の影響もあり改善をしています。

 

三菱商事の株価推移

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三菱商事の株価推移は直近の資源高・円安影響を受け、今年の株価は右型上がりです。上のチャートは先週末までなので、チャート外ですが、今回の事業者選定のニュースを受けても株価はほとんど変わらず。三菱商事全体と比較すればそれほどインパクトは大きくないのでしょう。先までの記事の通り安価での入札となりましたし。

 

洋上風力発電事業者の決定の記事は、こちら。

 

manabinobi.hatenablog.com

 

 

洋上風力対象事業者の決定による影響〜レノバがストップ安〜

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昨日の記事、洋上風力発電の事業者が決定したことに対して、レノバという企業の株価に大きく影響を与えたので、本日はその点に触れてみようと思います。

 

前回記事はこちら。

manabinobi.hatenablog.com

 

◯株式会社レノバとは?

そもそも株式会社レノバという企業ですが、再生エネルギーに特化した発電事業者です。開発中も含め、太陽光発電風力発電バイオマス発電、地熱発電といった多数の再生可能エネルギーによる発電事業を手掛け、売上高の成長も著しく、まさに「成長株」と「脱炭素」という2つのテーマから注目度も高い企業です。

 

◯今回の洋上風力発電事業選定について

今回洋上風力発電事業者選定された区域のうち、秋田県由利本荘市沖について、レノバは公募に参加していました。相当力を入れていたはずで、地盤調査や環境影響評価の様子などを積極的に情報発信し、秋田県より秋田県SDGsパートナーにもレノバ由利本荘事務所が選ばれるなど、リードしている印象でした。しかし、昨日の記事の通り選ばれたのは三菱商事を中心とするコンソーシアムでした。

 

◯株価への影響

これを受け昨日のレノバの株価は、24日の終値4,600円から3,900円と700円(15.2%)とストップ安となりました。野村證券も5,610円から2,430円へレーティングを下げています。

このことはBloombergの記事にもなっています。

www.bloomberg.co.jp

この記事に、『3区域の売電価格が1キロワット時あたり、11.99ー16.49円と入札上限の29円を大きく下回り、「現時点では収益貢献を見通し難い水準」と評価』と記載されています。確かに経済産業省の選定結果のHPを改めて見返して見ると、秋田県由利本荘市沖の区域では、11.99円/kWhの価格で価格点120点満点のうち120点を三菱商事が獲得しており、計算式を見ると、他社よりも2割以上低い価格としていることがわかります。

『「日本の洋上風力業界の将来的な収益性も慎重な見通しが必要となる可能性」がある』という記載にありますが、電力事業者からすると洋上風力発電では儲からなくなってしまうと、公募に手を上げて調査をするコストがそのままリスクとなってしまうことが想像できてしまいます。

 

〈12月28日取引終了後追記〉

28日も700円下がり3,200円。26日終値から30.4%減となりました。2営業日連続のストップ安です。あまり詳しくないのですが、これで明日は値幅制限4倍に拡大されるんですかね?

洋上風力発電の3地域の事業者が決定

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日本における脱炭素の鍵を握る洋上風力発電の開発。「秋田県能代市三種町及び男鹿市沖」、「秋田県由利本荘市沖」、「千葉県銚子市沖」の3地域について、経済産業省国土交通省は発電事業者公募を行っていましたが、24日に事業者の選定結果を公表し、いずれの地域も三菱商事を中心とするコンソーシアム(共同事業体)が選定されました。

 

◯洋上風力発電の利点

洋上風力発電については、以前記事を書いています。

manabinobi.hatenablog.com

上記事でも触れていますが、改めて洋上風力発電を設置する意義を考えると、

①日本の排他的経済水域が広域であること。

 日本の排他的経済水域は世界で第6位と、島国の利点を活かすことができます。日本の場合は国土に山地が多く、大規模な陸上風力発電所太陽光発電所を設置しようとすると、森林を伐採し土地を造成した上で設置する必要がでてきます。このため、土砂災害の発生リスクが高まります。

②安定した発電能力を持つ。

 風力発電のエネルギー源となる風は、陸上では地表から抵抗を受ける一方、洋上では安定して強い風が吹きやすいといった特徴があります。また、夜間にも発電ができるため、太陽光発電の弱点を補えるメリットもあります。

 

◯洋上風力発電の出力

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秋田県由利本荘市沖は3つの地域の中でも最も面積の広い区域でもありますが、発電出力も大きく81.90万kW(1.26万kWの発電機を65基を設置)となっています。

 

この出力規模がどれだけ大きいかと比較するために、日本最大級の風力発電所を見てみます。日本最大の風力発電所は、三重県津市と伊賀市に跨る「青山高原ウインドファーム」(http://www.awf.co.jp/)で、その出力は9.50 万kW。「一般家庭約5.5万世帯の電力を賄うことができる」とされています。

単純に今回の洋上風力発電3地域の出力の合計は168.84万kWで、青山ウインドファームの約17.8倍、97.7万世帯の一般家庭の電力を発電できることになります。おおよそですが、宮城県の世帯数が約102.4万世帯ですので、これだけ大規模な発電所の設置計画がスタートすることになります。

ついでにベイシアグループについても調べてみる。

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カインズに関連して、ベイシアグループについても調べてみました。傘下にカインズをもつベイシアグループは、グループ総売上1兆円を超える企業グループです。株式会社いせやとして群馬県伊勢崎市にて誕生し、それぞれの事業が分社化し、細分化されながら、現在の姿になってきました。

 

〇主な所属企業

ベイシア

 関東甲信越中部地方を中心に139店舗を展開しているショッピングセンターチェーン。スポーツセンターのベイシアワールドスポーツ、衣料品のベイシアファッションセンター、ベビー用品・マタニティ用品のあかちゃん王国なども展開。

・カインズ

 ホームセンター業界トップ。詳細は前記事にて。

・ワークマン

 ベイシアグループ唯一の上場企業。作業服・作業関連用品の専門店。ここ数年は『ワークマン女子』という言葉が生まれる機能性の高いウェアもブーム。

セーブオン

 以前は自社ブランド「セーブオン」のコンビニチェーンでしたが、今はローソンのフランチャイジーとして、345店舗(2020年11月末)を展開。コインランドリー事業にも参入。

オートアールズ

 車検・カー用品専門店。

ベイシア電器(家電量販店チェーン)

 家電量販店チェーン。携帯電話のキャリアショップも運営。

 

ベイシアグループの売上規模について

ベイシアグループは株式上場をしていませんが、上記の通りグループで売上高1兆円を超えている大規模な企業となります。これがどのレベルか確認するために、ベイシアグループと同じ小売業で売上高1兆円を超える企業を調べてみると、以下、5つの企業しかヒットしません。

①イオン(8267) 8兆6039億円

セブン&アイホールディングス(3382) 5兆7667億円

ファーストリテイリング(9983) 2兆1329億円

④ヤマダホールディングス(9831) 1兆7525億円

パン・パシフィック・インターナショナル(7532) 1兆7086億円

 

早々たるメンバーの中に、ベイシアグループが入っていることになります。ベイシアグループのHP(ベイシアグループについて - ベイシア)によると、『1959年のいせや創業以来、吸収や合併を一切せずに自社だけでここまで成長してきた』とあり、その拡大力がわかります。

といことは、今回のカインズによる東急ハンズ買収はグループとして初めての買収になるということでしょうか?この面からみても今回のニュースはベイシアグループにとって歴史的な出来事なのかもしれません。

カインズが東急ハンズを買収する報道から

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先日、ホームセンターを運営するカインズが、東急ハンズを買収することがニュースがありました。今回はこのニュースを掘り下げてみます。

www.nikkei.com

 

〇カインズという企業は?

カインズはホームセンターの中でも最大手と言われています。ベイシアグループ傘下の企業です。

カインズの売上高は4,854億円、DCMホールディングス(3050)が4,711億円、コーナン(8218)が4,420億円(いずれも2021年2月)とホームセンターの業界の中でも売上高トップとなります。店舗数は225店舗。ホームセンターは大型の店舗が多く、どちらかというと郊外型の店舗が多い特徴があります。カインズも東京23区内には、南砂町SUNAMO店しかありません。

 

東急ハンズは?

一方の東急ハンズ。こちらは東急不動産の子会社となります。生活雑貨を扱う都市型の小売店で、東京23区内では新宿・渋谷など7店舗でカーマのような住宅地ではなく、百貨店があるような繁華街に出店しています。だからこそ、人が集まるところは避けよう、近所で過ごそう、といったコロナ禍の影響を大きく受けたのだと思いますが、2021年3月時点で619億円の売上高でした。2017~2020年までは950億円以上あった様ですので、2021年に急激に経営悪化したことになります。

 

〇今回の買収について

上記の通り、カインズと東急ハンズがそれぞれ異なった商圏になるので、顧客の取り合いにならないことが最大のポイントだと思います。一方で、顧客がそれぞれに求めるものが違うためどのようにシナジーを大きくするか、が今後の課題だと思います。カインズ・東急ハンズはそれぞれPB(プライベートブランド)商品に力を入れているため、今後どのような商品性・戦略にするのかが気になるところです。

 

ポピンズホールディングス(7358)〜働く女性支援〜

こども家庭庁関連銘柄、ポピンズホールディングスです。働く女性の育児・介護支援を目指す企業です。2020年12月に東証1部に上場しています。

 

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ポピンズホールディングスはチャイルドケアサービスやシルバーケアサービス等、居宅訪問による保育及び高齢者ケアサービスを行う『在宅サービス事業』と、認可保育事業、認可外保育事業等で保育・学童施設の運営を行う『エデュケア事業』に分かれています。

売上高の83%がエデュケア事業ですが、ポピンズホールディングスの特徴は『在宅サービス事業』の保育・教育ベビーシッターサービスです。自宅で見てもらうこともそうですし、保育園への送迎や公園でのお遊びなどもある様です。例えば毎週◯曜日に残業をする時間とする日と決め、その日はベビーシッターにこどもを見てもらうという使い方があるようです。また、オプションで、こどもの食事作り、家庭教師、アスリートレッスン、受験指導、カウンセリング等も提供しているとのこと。

高齢者向けには、「VIPケアサービス」を提供。家事サービス、外出同行サービス、身体介護、ご相談サービス、エマージェンシーサービス等を提供し、完全オーダーメイドのサービスを提供しています。

 

エデュケアサービス事業では、認可保育所認証保育所認定こども園、事業所内保育園、学童保育、児童館、商業施設内・ホテル内保育所、アクティブラーニングスクール、エデュスクール、インターナショナルスクールを運営、またハワイにも託児施設を運営しています。

 

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当然にIT企業のような爆発的な成長はないですが、施設数が増えて、安定的に成長はするビジネスだと思います。また、ベビーシッターというとまだあまり私も馴染みがないのですが、それでもナニーサービス会員数は過去10年で4倍となっているとのことです。最近は働き方も多様化してきており、このような箱物である施設に預けるだけでは対応しにくい場合もあるのではないかと思います。より、使いやすいと思わせるようなアイディアがあるとよい、と思います。

調べてみて面白いなと思ったのは、企業が福利厚生として従業員へベビーシッターサービスを提供するといったもの。女性の活躍推進を掲げる企業は多いですが、時短勤務、育休のとりやすさという観点もありますが、休まなくても働くことができるという方向性での従業員支援もあると思います。その様なときにこのベビーシッターサービスの活用もありかと気付かされました。

 

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株価の推移は上場後2ヶ月後にせり上がるようなイメージでしたが、その後失速しています。成長株と同じ目線ではない銘柄ですので、じっくりと割安な時期に確保すると、政府のこども支援政策で注目を浴びると伸びる、といった