Macbee Planet(7095)の決算分析
Macbee Planetの決算分析です。Macbee PlanetはWebマーケティングの事業を行っている企業です。
◯Macbee Planetの事業内容
Macbee Planetはデータ解析プラットフォーム「ハニカム」を提供しています。インターネットを通じて販促等を行う企業に対して、Web広告を一元管理、効果測定をおこない、広告展開の最適化を行うといった、Webマーケティング活動の戦略支援等コンサルティングサービスを提供しています。この事業がアナリティクスコンサルティング事業でMacbee Planetのメイン事業となります。
また、Web接客ツール「Robee」により、顧客転換率の向上、顧客解約率の低下させ、さらに消費行動を分析し、マーケティング活動を行っていく「マーケティングテクノロジー事業」を行っています。
セグメント別の売上高比率は次の通りです。
◯Macbee Planetの業績推移
Macbee Planetの事業業績を時系列で表示すると、右肩上がりの強い成長が続いていることがよくわかります。2022年4月期の売上高は47.5%増収、営業利益は57.5%、最終利益は41.3%の増益となりました。特に第1Qで証券業界向けの事業が大きく伸長しています。
2023年4月期においても売上高18%増収、営業利益が29%増益を見込んでいます。注意しておきたいのは、上記の通り2022年4月期第1Qの証券会社の事業の伸長を特需としており、この分が剥落することで1Qで比較をすると、減収を見込んでいます。次回1Qの決算発表時に慌てないようにしたいところです。
興味深いのは今後の成長戦略として、Web3.0の分野における新規事業を模索中としている点と、M&Aによるさらなる事業拡大をめざしている旨を記載しています。こちらのスケジュールについては記載がないものの、中期経営計画上においては、2024年4月期の売上高を22,000百万円と、2023年4月期からさらに約30%の成長を見込んでおり、引き続き高い成長率が維持されることが期待されます。
◯Macbee Planetの株価推移
これだけ好調な業績発表だったにもかかわらず、決算発表翌営業日14日の株価は前日比▲6.15%の大幅減となりました。地合いが良くなかったこともありますが、こんなに下がる理由もないのに、という感想です。
とはいえ、2021年11月のピークから大きく下がっていましたが、2022年2月以降下げ止まってきているように見えます。
メルカリがプライム市場へ
今年4月東京証券取引所は、それまで東証1部、2部、JASDAQ、マザーズといった4つの市場から、プライム市場、グロース市場、スタンダード市場へ再編されました。
早いもので、市場再編からすでに2ヶ月が経過したのですが、今回とうとう市場間を移行する銘柄が生まれました。やはりというべきだと思いますが、移行銘柄第1号はメルカリです。メルカリはこれまでグロース市場に上場していましたが、6月7日からプライム市場へ移行しています。
上場する市場の変更を、東京証券所が変更についての発表をしたのが5月31日。この日のメルカリの株価終値は2,129円でしたが、翌営業日の6月1日には2,279円で始まり、大きく跳ね上がりました。
その後は、上がりすぎた株価を調整という形で戻ったり、また再び上昇するといった荒い値動きになっています。
メルカリですがこの上場市場変更の発表と同日に『中長期的な企業価値向上のための投資方針に関する説明資料』を公表しています。この中で、今後の投資計画を説明していますが、日米そして日米以外において、それぞれの成長のポテンシャルがあり、グローバル展開しながら成長をしていくことを見込んでいます。
現在、サプライチェーンの混乱や、インフレの加速による新品の品不足や価格高騰、あるいは環境問題といった切り口においても、メルカリのリユース事業というのは、ますますニーズが高まる可能性があるのではないでしょうか。
今後、メルカリに続いて市場変更を行う銘柄はどこでしょうか。今回のように上場市場の変更は株価上昇へのインパクトもあるので、探してみるのも面白いと思います。
スタート2日後に終了を発表したふるさと納税サービス。
今回取り上げるとあるサービスを知ったのが6月9日の帰宅途中で、その時にはこのサービスについてそのうちに記事にしようと思っていたのですが、知った翌日にサービス終了が発表されてしまいました。そのサービスの名前は「キャシュふる」です。
キャシュふるはふるさと納税に関するサービスなのですが、そもそもふるさと納税では、通常寄付金に応じた返礼品が納税先の自治体からもらえます。個人的にも毎年利用している仕組みなのですが、この「キャシュふる」は返礼品の代わりに、お金をうけとることができるというサービスでした。
ふるさと納税を行った人が受け取る返礼品の受領権を、キャシュふるが、返礼品が欲しい人へ売却を行うことで、キャシュふるに売上がたち、この売上から手数料を引いた金額(寄附金額の20%)をふるさと納税を行った人へ還元する、といった仕組みになります。
返礼品で欲しいものはないが節税をしたい納税者、お得に返礼品が欲しい人、ともに嬉しいサービスということにはなるのですが、10日に金子総務省がこのサービスに対して、制度の趣旨から外れていると苦言を停止、これを受けて運営会社がサービスの終了を発表した形になります。
ふるさと納税の趣旨とはどのようなものでしょうか。
総務省のふるさと納税ポータルサイト内のふるさと納税の理念に以下の記載があります。
・第一に、納税者が寄附先を選択する制度であり、選択するからこそ、その使われ方を考えるきっかけとなる制度であること。それは、税に対する意識が高まり、納税の大切さを自分ごととしてとらえる貴重な機会になります。
・第二に、生まれ故郷はもちろん、お世話になった地域に、これから応援したい地域へも力になれる制度であること。それは、人を育て、自然を守る、地方の環境を育む支援になります。
・第三に、自治体が国民に取組をアピールすることでふるさと納税を呼びかけ、自治体間の競争が進むこと。それは、選んでもらうに相応しい、地域のあり方をあらためて考えるきっかけへとつながります。
ふるさと納税の考え方は、大前提として税金をどの自治体に支払うか、ということがスタートであり、その返礼品は選ばれた自治体が納税者に対する御礼です。
これに対してキャシュふるは実質的に、住民税を80%に減額することができる仕組みとなります。
そもそも返礼品が不要ということはどういうことか考えてみますと、住民税納付額が大きく、返礼品をもらっても消費しきれない、といった状況ではないかと想像します。つまり高所得者ほど得をする様な仕組みということになるのではないかと想像してしまいます。
今回このサービスが終了してしまいましたが、仮に継続をしていた場合、ふるさと納税の仕組み自体の必要性がより疑問視されてしまったのではないかと思います。
アメリカ消費者物価指数(5月)の発表により、アメリカ株価が大幅安
6月10日の現地時間朝方、アメリカ消費者物価指数(CPI)が発表されました。この発表を受けて、アメリカでのダウ平均株価は大きく下落しました。
◯消費者物価指数について
アメリカではインフレが大きな課題となっています。その指標となるのが消費者物価指数です。前年同月比を見ることで、どれだけ物価が上がっているかということが確認できます。
直近1年間の消費者物価指数の推移を見ると次の図の通りとなります。
2021年6月の時点で5.4%と高い水準にあるのですが、2021年12月には7.0%を突破しました。今回発表された2022年5月については8.6%でしたが市場予測の8.3%を大きく上回るものでした。
◯今回の消費者物価指数の数値が表すもの。
市場予測では、アメリカの消費者物価指数はすでにピークを過ぎたという考え方でした。推移を改めて見てみると、消費者物価指数は2021年9月から2022年3月まで上昇し続けていました。しかし、2022年4月は依然高い水準ではあるものの8ヶ月ぶりに低下をしました。
金融の引き締めによるインフレ収束に向けて米連邦準備理事会(FRB)は0.5%の通常よりも大きく利上げを行っていますが、その様な中での今回発表の8.6%は3月の8.5%を上回っており、上述の市場予測の消費者物価指数のピークが過ぎたという考え方を完全に否定してしまった形になります。
こうなってしまうと、0.5%の利上げでは対策が間に合っておらず、さらに厳しい0.75%の利上げを実施する可能性が高まったのではないか、という懸念が高まります。
◯株式市場への反応
前日の9日から消費者物価指数の発表を控えた手仕舞い売り、また欧州中央銀行(ECB)が7月に量的緩和を終了することを発表し、638ドル(1.9%)安と大きく下落していました。警戒されている中での10日でしたが、880ドル(2.7%)安と大幅に下落しています。5月の中旬以降回復傾向にありましたが、この2営業日で大きく戻してしまう形になってしまいました。
仮想通貨テラの崩壊について
仮想通貨についてはこれまであまりこのブログにおいては取り上げていませんが、ある仮想通貨の価格が急落した、といった話がニュースになっておりますので、本日はその話題を見ていきましょう。
その通貨は「テラ」というものです。テラはステーブルコインと呼ばれる法定通貨であるドルと連動するように設計されているはずの通貨でしたが、その価格がドルと連動せずに崩壊してしまったのが今回のニュースになります。
上図は2022年に入ってからの、テラとアメリカドルとのチャートですが、4月まではほぼ1ドルでした。まさにステーブル(安定した)となっていたのですが、5月に入ると、急落していることがわかります。5月13日には10セント、つまりテラの価格はたった数日のうちに10分の1まで下落しています。
そもそも価格を安定化、ステーブルとするるためにいろいろな手段がある様ですが、テラはいわゆる「無担保型」と呼ばれるものでした。これは、価値の裏付けとなる担保を用意せず、供給量を調整することで、価値を安定化させるものです。
例えば需要が高まり価格が上がりそうになった場合には、自動的に供給量を増やし、反対に価格が下がりそうになった場合には供給量を減らす、このようにアルゴリズムによって需給バランスを整えることで、価格を安定化させるという手法です。
実際にはテラの価格調整には同じく仮想通貨のルナとの交換により供給量の調整を行っていましたが、このルナ価格の推移が問題でした。
ルナの価格は5月1日におよそ80ドルほどで推移していましたが、5月6日ごろから急落し始め、12日には0.005ドル、28日には0.0001ドルと、ほぼ価値がなくなってしまっています。
もともとあまり暗号資産については不勉強なので、しっかりと理解できていいませんが、調べてもどちらが先かよくわかりませんでした。
テラの価値が下がったので、テラを買ってルナを売るというアルゴリズムが働き、それによってルナの価値が下がる。
なのか、
ルナの価値が下がったので、テラの価格維持が疑問視され、テラの価値が下がった。
のいずれなのかよくわかりませんでした。
ただ、暗号資産については金融システムを根本から変える力を持つ仕組みであることから、今回のような事例をもとに今後どのような仕組みづくりをしていくかが重要になってくるのでしょう。
EUが充電端子規格をUSB-Cへ統一
欧州連合(EU)が、スマートフォンやノートパソコン、タブレット、デジタルカメラなどの電子機器において、その充電するためのケーブル端子を、USB-Cに2024年秋に統一をする旨の義務付けで合意しました。
私はプライベート用のスマホはandroidであり、充電端子はUSB-Cですが、会社用のスマホはi-Phoneで、こちらの端子はLightningになります。2種類のコードが必要で、うんざりはしていたのですが、本義務付けによりその悩みがなくなるということになります。
この義務付けで痛いのはApple。上述の通り、Appleは独自開発したLightningというコネクタを開発していて、2024年秋以降はLightning規格の端末についてはEU内で販売することができなくなります。EUだけUSB-C端子とするのか、いっそのこと全世界的にLightning自体を諦めるのか、対応が求められることになります。
Appleとしても今回のEUの合意に対して、規格の義務付けがイノベーションを抑制するものと反発をしています。私は電子機器に詳しいわけではないですが、これは確かにそうなのかと思います。Lightningがよいかどうかはわかりませんが、今回のUSB-Cへの規格統一により、今後より優れた端子規格が開発できたとしても、EU域内での販売が不可であればマネタイズが難しくなり、いかに優れていても商品化はできないということになります。
EUは今回の合意について、電子機器関連のごみを減らすという環境問題を引き合いに出して制限をかけることとなっていますが、良し悪しはおいておいて、EUの国際ルールを作る戦略は非常に上手い、と感じます。
脱炭素社会、個人情報保護(GDPR)といった制度設計は、厳しいルールではありますが、自分自身が主導的に仕組みづくりを行うことによって、(本意かどうかはわかりませんが)自分たちにより有利なルールとすることができます。
日本もそのような国際ルールを作る立場に再びなれると良いのですが。。。
今夏は節電。厳しい電力需給状況
電力受給のひっ迫により今年は7年ぶりに節電要請がされる様です。一律の節電目標は定めないとのことですが、空調の温度調整であったり、電灯の一部を消灯するなど、各社が対応するのではないかと思っています。
さて、電力受給のひっ迫については、以前記事に取り上げましたが、3月中旬に発生した電力受給ひっ迫警報が記憶に新しいです。
これは急激に気温が低下したことによる暖房器具使用による需要増と、悪天候による太陽光発電での発電ができないことに加え、約1週間前に発生した地震により、複数の火力発電所が停止していたことにより、受給が逼迫したことにより発生しました。
このときは結局大規模停電は起きず事なきをえた状況ですが、今夏改めてその恐れが発生するかもしれません。
さらに、夏を無事通過しても今年の冬はさらに厳しい状況になることが予想されており、さらに厳しい電力使用制限が発動される懸念が高まっている様です。
やはり課題としては火力発電所の休止になってきます。この夏に向けて電力会社に休止中の火力発電所の再稼働について求めていますが、これをスポーツに例えれば、現役選手の故障により、引退済みの選手や他の故障明け調整中の選手を一軍登録する様なもので、果たして戦っていけるのか、という状況です。
2030年の温室効果ガス排出削減目標に向けて、2030年における電源構成は火力発電は大きく減らす方向性で検討されており、新たに火力発電に対するコストをかけずらい状況だと推察します。
2030年度に20~22%を占める計画である原子力発電について、発電所の再稼働への議論が今後さらに加速されていきそうです。