まなびの『び』

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東証再編について、市場のあり方について私見

以前取り上げた東証再編の記事の続報です。

(参考:以前の記事)

manabinobi.hatenablog.com

 

2022年4月に行われる東京証券取引所の再編後について、各上場企業の所属先、上場市場が公表されました。

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現在東証1部に上場している企業のうち、84%の企業がプライム市場を選択しました。予想通りとはいえ、経過措置も活用をしながらもほとんどの企業がプライムを選んだ結果だけを見ると、「結局今回の東証再編で何がしたかったんだっけ?」というのが感想です。


現在は基準を達していなくてもいずれ基準を達成する計画を立てればプライムを選択する経過措置があるため、プライム市場を選ぶハードルがぐっと低くなっていまいます。

例えばですが『3年間で基準を満たす必要がある』と期限が決まるだけで、基準の達成計画はより中身があるものになりより実現性が増すはずです。そしてこの例で言えば3年じゃ到底基準は満たせないと判断する企業があればスタンダードを選んでもらう、という今回の東証再編の目的に沿った形だったのでしょうが、残念ながらそうはなりませんでした。既存を配慮する日本の嫌な部分が現れている様に感じました。やはり「最上位の市場に上場している」という肩書きに価値があるんですね。

 

本来のあり方としては、「スタンダード」=標準なのだから、基本的にはほぼすべての上場企業がスタンダードに移ります。というメッセージ性のほうが良かったのだろうと思います。その中で上位300社くらい(上位1割弱程度)に絞れる程度に時価総額基準を極端に引き上げるプライムを『新設』します。(上場一部→プライムではなく、上場一部→スタンダード→プライム)という形のほうがよかったのかなと思います。

 

また、現状では東証1部>東証2部>マザーズ、再編後ではプライム>スタンダード>グロースと上位下位の市場に見えますが、せっかくならもっと違う形での市場の分け方もあっていんじゃないかな、と個人的には思います。

例えば、ハイテク系・IT系を対象とするテック市場。カーボン排出量で上場基準を設けるエコロジー市場など、この様に日本の成長させたい分野の市場を作り、資金を集める仕組みができたりしないのかな?と浅はかに考えてしまいますが、いかがでしょうか?旬が過ぎたときたらスタンダードに戻すイメージですが、そのときのインパクトが大きくて難しいですかね。