まなびの『び』

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トヨタ自動車の決算短信を読んでみる

これまで損益計算書貸借対照表キャッシュフロー計算書の3つの資料について見てきました。これら3つの資料を財務三表と言います。

 

上場企業は、決算日から45日以内に決算短信を提出することになっており、この決算短信に財務三表の概要版が掲載されています。

 

ということで、勉強のためにトヨタ自動車決算短信を見てみます。なお、ちょうど先日2021年10月4日に第2四半期の中間期決算が開示されていますが、今回見るのは2021年3月期の決算短信(2021年5月12日開示)のものです。

https://global.toyota/pages/global_toyota/ir/financial-results/2021_4q_summary_jp.pdf

 

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2021年度は、新型コロナの大流行を受け、生産工場も停止・緊急事態宣言による販売店の営業停止、これにより世界的に新車販売の台数が減少するといった年でした。トヨタ自動車は売上高は8.9%、営業利益は8.4%昨年と比べて減少しています。一方で営業外の収益が前年よりも改善し、当期純利益は前年よりも上回りました。決算短信には翌年度(2022年度)の予測値も掲載されていて(開示していない企業もあります。)、売上高はコロナ前の水準まで戻り、利益はコロナ以前よりも上回る見込みとしています。

 

キャッシュフローは営業活動はプラス、投資活動はマイナス、財務活動はプラス、合計して期末残高が対前年で増えている状態です。投資活動では「その他」の項目が前年よりも減少しているため、これだけでは中身がわかりません。財務活動によるキャッシュフローは前年度よりも長期借入金が増えています。

 

純資産24,288,329のうち、過去の利益の積み重ねである利益剰余金が24,104,176とほとんどを占めています。資産の部では、流動資産、固定資産ともに、「金融事業に係る債権」が多くの割合を占めています。トヨタを始め自動車メーカーは購入者にローンを組んだり、リース契約を組んだりといった金融事業を行っています。この金融債権が資産に算入されています。

 

企業が本業で稼ぐ力を示す売上高営業利益率は8.08%。製造業の営業利益率はおおよそ4~5%※の様なので、稼ぐ力は優れています。

(※2020年企業活動基本調査確報-2019年度実績-|経済産業省企業活動基本調査|経済産業省

続いて経営の効率性を表すROEも9.6%。8%が目標値であることから、こちらも充分に優良な企業といえます。

 

上記の通り、トヨタ自動車は金融事業を行っています。売上高に占める比率としては1割に満たないですが、金融事業の売上高営業利益率をみると、20%を超える高い水準です。金融事業はローン事業等ですので、コロナの影響も受けにくく、前年度よりも増益をしているセグメントでした。

 

決算及び四半期決算は3か月に1回発表されます。四半期決算にて経営状況の進捗が掲載されているので、直近の状況を確認することができます。