東芝の分社化報道〜コングロマリットディスカウントとは〜
昨日11月8日、東芝がインフラ、デバイス、半導体メモリーの3つの会社に分社、それぞれ上場を目指すとの報道がありました。東芝は身近なところで言えば、家電メーカーであったりエレベーターというイメージが強いのですが、東芝という企業について調べ、その中で分社化するメリットであるコングロマリットディスカウントとは、を調べてみました。
今年、海外投資ファンドから買収提案が報道させるなどもありましたが、そもそも東芝は、国産第一号の家電を数多く世に出してきた日本を代表する白物家電メーカーでした。しかしながら、2015年に粉飾決算事件が発覚。2016年には過去最大の営業赤字を出すなど、業績は悪化。関連子会社の売却、事業の整理等をしています。上記で、東芝の家電メーカーというイメージと記載しましたが、家電事業はブランド名称としてはそのままTOSHIBAを使いながら、2016年6月に中国の美的集団に売却をしています。他にもテレビREGZAは中国ハイセンス傘下であったり、パソコン事業もシャープに売却など、多くのBtoC商品は撤退し、現在ではBtoB事業が中心となっています。
事業としては、大きく6つのセグメントに分かれいて、各セグメントの売上高構成比は次表の通りです。
①エネルギーソリューション
火力発電、水力発電、原子力発電、太陽光発電などの発電プラント設備の建造、送配電システムなどの分野。再生エネルギーによる水素供給など。
②インフラシステムソリューション
上下水道、道路、鉄道、通信、電波など、社会インフラに関する分野。日産自動車のハイブリッド自動車用のモーターなども。
③ビルソリューション
エレベーター、証明、空調など、ビルシステムに関する分野。
④リテール&プリンティグソリューション
デジタル複合機やPOSシステム等事業の分野。POSシステムは世界シェアNo.1。
⑤デバイス&ストレージソリューション
⑥デジタルソリューション
AIやIOTなどのデジタル技術を活用したデジタルソリューションの分野。
このように事業分野としては様々な事業を行っていることがわかります。今回の報道での分社化を検討している目的として、こうした多角化となっている事業形態が、投資家から見て評価しづらく、企業価値が下がってしまうということがある様です。こうしたことをコングロマリット・ディスカウントというようです。企業側にとってみれば、経営の多角化により経営リスクの分散化が図れるというメリットはあるとは思いますが、半導体分野に投資をしたい投資家が見たときには、東芝は約22%しか半導体の分野を取り扱っていないのであれば、投資対象からは外れてしまうということになります。
今回の報道を受けて、東芝は今日の株価は前日終値から95円(1.9%)プラスで始まるものの、その後時合にも押され前日終値から130円下げた4,845円で着地。12日に決算も控え、効果が現段階では評価が難しかったのかもしれません。