まなびの『び』

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グレイステクノロジーが上場廃止へ。。。

グレイステクノロジーという企業が上場廃止基準の抵触により2月末で上場廃止となるといったニュースが入ってきました。グレイステクノロジーはかなり成長度が高く個人投資家に人気の銘柄でもありました。

 

◯グレイステクノロジーとはどの様な企業か。

グレイステクノロジーは、顧客企業のマニュアルを制作・マネジメントするマニュアルコンサルティング企業です。マニュアル制作、再構築を行うことで、企業内でのマニュアル制作にかかる時間の縮小、部署間の問い合わせ削減による効率化、ミスの防止等のメリットがあります。

実は私自身、以前からこのグレイステクノロジーに注目していました。企業の成長力が高かったことが最大の背景ですが、今後の人材流動化や、生産性向上のためにはマニュアル化という事業は、今後労働力が減少していく日本にとって、よりニーズが増えてくると思っていたからです。実体験でいうと、マニュアルを読むのに時間がかかってしまい、結局わからず作成部署に記載内容の意図することについて問い合わせる、といったことが少なくありません。今後、転職がより増えてくる様になると、この課題がより表面化すると思ったので、実体験を踏まえてマニュアルの整備は非常に重要だと思っておりました。

 

◯グレイステクノロジーはなぜ上場廃止となるのか。

2021年11月9日にグレイステクノロジーが2022年3月期第2四半期(2021年7月から9月)の決算発表を延期する発表をいたしました。2017年3月期から2022年3月期第1四半期まで、の期間で、会計処理の適切性に疑念があることを認識し、特別調査委員会を設置し、上記会計処理に関する事実関係と決算数値の確定に時間がかかるとしています。

 

当初第2四半期の提出期限は会計期末の翌々月15日である11月15日が期限でしたが、提出期限の延長を申請し、これが承認されました。承認された延長後の提出期限は2022年1月17日です。

ここで、日本取引所のWEBサイト(上場廃止基準 | 日本取引所グループ)を見てみると、上場廃止基準に有価証券報告書等の提出遅延があります。

監査報告書又は四半期レビュー報告書を添付した有価証券報告書又は四半期報告書を法定提出期限の経過後1か月以内に提出しない場合(有価証券報告書等の提出期限延長の承認を得た場合には、当該承認を得た期間の経過後8日目(休業日を除外する。)までに提出しない場合)

グレイステクノロジーの場合、承認された提出期限が2022年1月17日ですからここから8営業日、つまり1月27日までに提出しない場合に上場廃止基準に抵触するということになります。

これに対し、1月14日にグレイステクノロジーから、延長された提出期限である1月17日には間に合わない見込みであること、そして、東京証券取引所から監理銘柄に指定をされる見込みである旨、発表されます。そして1月27日12時に当日中の四半期報告書が提出できない、との発表があり、同日21時45分に提出未了の報告がありました。東京証券取引場も同日にグレイステクノロジーが2月28日にて上場廃止がされると発表をしています。

 

◯グレイステクノロジーはなぜ第2四半期報告書を提出できなかったのか。

グレイステクノロジーが公表した特別調査委員会の調査結果によると、2016年3月期より、つまりグレイステクノロジー東証マザーズに新規上場を果たす前から不正会計をしていたとのことです。本来は最終納品時に計上すべき売上を納品前に計上をしていました。そして、この売上の前倒しをしても売上目標の達成は困難になり、経営陣も関与する架空売上へと発展。役職員が自己資金を顧客名義で振込入金し、契約書類も偽造していました。架空売上の金額は年々増えていき、2021年3月期は売上高1,812,262千円のうち、994,280円と半分以上の売上が架空売上だったということになります。

この架空売上の原資は株式のストックオプションで、架空売上により株価が上がる、ストックオプションを行使することで得られた資金を架空売上にする、というサイクルの自転車操業状態となっていました。

しかしながら、2021年4月にこの架空売上の原資であったストックオプションを行使してきた創業者でもある会長が急逝し、また外部から不正会計の指摘によりこの自転車操業が破綻した、としています。

 

◯グレイステクノロジーの株価の推移

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上図がグレイステクノロジーのこの5年間の株価の推移です。2020年3月のコロナショックの影響はほぼなく、その後急激に株価は上昇。リバウンドを経て、2020年11月に最高の4,235円をつけました。その後再調整し、また上昇するかとしていたところで、会長の急逝のニュースにてその勢いが止まります。

当時、不適切会計についてはなかったものの、会長のワンマンで成り立っていたという話があった記憶があり、そこからは株価は転落していきます。当時4,235円あった株価は28日の終値で21円と最高値からおよそ0.5%にまで下がっています。

不適切会計が明るみになる前の10月末でも1,000円程度ですから、この時点で既に4分の1程度まで落ち込んでいます。あれよあれよという間に下がっていってしまい、既にもう戻ることはありえません。損切りって重要ですね。とても売るタイミングが下手でアドバイスほしいです。