まなびの『び』

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海運3銘柄(日本郵船・商船三井・川崎汽船)の決算上方修正

各社決算シーズンですが、海運業が好調ということで、各社の決算内容を見ていきます。

 

○そもそも海運とは。

 

主に船舶を用いて海上を人や物資を輸送することを指します。飛行機による空運やトラック、鉄道等による陸運と比較して速度が遅いというデメリットはありますが、積載量と搬送費用が安価である特徴があるため、海外との貿易で絶対的な地位にあります。

近代日本の海運業は、昨年の大河ドラマ「晴天を衝け」でもそのシーンがありましたが、岩崎弥太郎の三菱商会と渋沢栄一の共同運輸が過当競争を繰り広げましたが、その両社が政府介入により合併し、日本郵船が設立しています。

商船三井三井物産の船舶部門が分社し、その他海運業者が合併したことにより誕生。川崎汽船川崎重工業の船舶部門が独立し、設立しています。

世界との激しい競争により収益悪化していたコンテナ船事業を3社合併させ、「OCEAN NETWORK EXPRESS」(ONE)を設立、『日本』を背負って世界各国と戦っている状況にあります。ONEは日本郵船が38%、商船三井が31%、川崎汽船が31%それぞれ株式を取得している状況にあります。

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各社のコロナ前の2020年期の各社の売上高、各利益を並べたのが上図になります。売上高順に日本郵船商船三井川崎汽船となっています。

コロナ禍による巣ごもり需要の増加と、コロナからの急激な経済の立ち直りにより物流量が多くなり、コンテナ輸送費が高騰し高止まり状態となっているため、昨年から各社好業績が続いている状況です。

 

◯各社見通し上方修正のまとめ(2022年10-12月期)

  商船三井 日本郵船 川崎汽船
決算発表日 1月31日 2月3日 2月3日
売上上方修正 3.3% 10.0% 5.80%
経常利益上方修正 35.4% 31.00% 38.50%
年間配当上方修正 150円増 200円増 なし

 

各社とも、決算発表にあわせ決算見通しの上方修正をしています。これは今期4回目となります。なぜここまで好調かということで、一番決算が早かった商船三井の発表によると、『コンテナ船事業を運営している当社持ち分方適用会社OCEAN NETWORK EXPRESS PTE.LTDにおいて、旺盛な輸送需要が継続し、スポット賃率が前回発表時の想定を上回るレベルを維持しており、同社の業績予想が前回発表値よりも更に上ブレる見通しとなりました。』としており、上述の通りONEは3社がそれぞれ出資していることから、この理由は3社ともに当てはまり3社とも上方修正に至ったということになります。

残念なのは、川崎汽船で、3社の中で唯一配当金の上方修正は発表しませんでした。1株利益で比較しても3社とも大きな差異はない中で、配当は川崎汽船だけが上がっていない状況。確かに昨年以前も川崎汽船だけが配当を出していないという実績もありますが、今後配当拡大の発表はあるのでしょうか。