まなびの『び』

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オリックスの株主優待廃止から、公平な株主還元とは?

リース事業を中心とする金融業のオリックスが11日の決算発表に合わせて、株主優待制度の廃止についてリリースをしました。

(https://www.orix.co.jp/grp/company/newsroom/newsrelease/pdf/220511_ORIXJ4.pdf)

 

オリックスはカタログギフト「ふるさと優待」を受け取ることができる株主優待があることで有名でした。3年以上だと選べるギフトもより良くなるという制度です。また、あわせて株主カードというオリックスグループの提供サービスの割引制度もあります。この様に優待制度が充実していることから、優待を期待して長期で保有されている方も少なくありません。この様な方には非常に驚きのニュースだったと思います。

今回のリリースでは、優待廃止はすぐに実施されるわけではなく、2024年3月31日時点の保有株式への優待の配布をもって廃止となる様です。つまり、まだしばらく猶予期間があることになります。

 

さて、なぜ優待制度を廃止するのでしょうか。上記リリースには、

中期的な方向性を設定し、さらなる事業成長に努めるとともに、株主の皆さまへのより公平な利益還元のあり方という観点から慎重に検討を重ねました結果

という記載があります。ここでいう公平な利益還元というのは何を指すのでしょうか。オリックスの場合、株式を100株持っていても、300株持っていても、もらえる優待は同じです。そうであるならば、優待を受け取るための効率性だけを考えれば、100株だけ持っていれば良くなることになります。反対に保有株式数が多い株主にとっては不利な制度となります。

優待制度を実施するのに企業としてはコストを支払うわけですから、同じコストであれば配当金に回せば、所有する株式数に応じて支払われることになるので、多くの株式数を保有している株主にとっても公平になることなります。この理由により、

株主優待制度については廃止し、今後は配当等による利益還元に集約することといたしました。

という記載になるのだと思います。

今回の発表を受けて、株価は大きく売り込まれることはありませんでした。

配当利回りも高い銘柄ですので、一定の離脱がありつつも割安さから買われたという事かもしれません。(日本の市場全体の地合いもよかったのもあるかもしれません。)