まなびの『び』

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スイスが15年ぶり政策金利を引き上げ。スイス・フランの歴史

スイスの中央銀行であるスイス国立銀行政策金利を0.5%引き上げ、マイナス0.25%にすることを発表しました。この政策金利の引き上げは2007年以来15年ぶりということです。

スイスではこれまで政策金利はマイナス0.75%と世界各国と比べて最も低い政策金利となっていました。日本の政策金利マイナス0.1%と比較してもかなり低いことがわかると思います。

 

スイス・フランは、永世中立国というスイスの国際的地位から、安全資産と言われていて、そのために一度金融危機等が発生するとスイス・フランが買われて価格が急騰しやすい特徴があります。この特徴から過去、スイスフランショックという事件も発生しています。

 

これは2015年に発生した事件で、スイス・フランが数十分という短い時間の中でスイス・フランが暴騰、他通貨が急落をしました。1ユーロが1.2スイス・フランだったところ、数分の間に0.85スイス・フランまで上昇してしまいました。

背景には、それまでスイス国立銀行が取っていた1ユーロ1.20スイス・フランという上限を撤廃したということになります。この上限は上記のような高騰が起きないように設定していたものですが、この撤廃により一気に価格が変動を起こしたことになります。

あまりにも急激な価格上昇によりFXでの強制ロスカットが働かず、想定以上の損を抱えたトレーダーや証券会社の破綻が発生しています。

 

さて、スイス国立銀行の設定した価格上限はなくなったものの、安定資産の地位は引き続き維持されており、マイナス金利の導入によりスイス・フランよりも他通貨の方が金利が高いという状況を意図的に作ることで、スイス・フランの高騰を抑え、スイス・フラン安という状況を作っていました。

 

この様な状況の中で、今回のスイス国立銀行の発表となります。

上図はスイス・フラン-円の16日の1分足チャートですが、16:30くらいまで1スイス・フラン=134.8円ほどだったのが、10分ほどで137.2円近くまで上昇しています。

そして為替だけにとどまらず、日経平均先物にも大きくインパクトを与えました。16時40分ごろに25,640円までさがっています。16日の日経平均終値が26,430円でしたので、一気に800円下がっています。日本だけでなく、世界各国の市場で同様の急落が発生しており、今回の事象が大きいものかわかります。いま記事を書いているのが16日の21時ごろですが、この記事を掲載するときにはどのようなことになっているでしょうか。