まなびの『び』

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動いたECBと動かぬ日銀。EU域内の南北格差について

欧州中央銀行(ECB)が政策金利の引き上げを決定しました。ECBの利上げは11年ぶりとのことで、以前記事にしたスイス国立銀行の利上げ発表と同様、大きな方針転換がなされました。一方で、日本の中央銀行は引き続き利上げを行わないことを強調しました。

 

スイス銀行の利上げ発表)

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EU加盟国でも激しいインフレが発生しており、対策は急務となっている状況でした。EUの場合は特にロシアからのエネルギーの供給に依存をしている国が少なくなく、ウクライナ侵攻後に発生したエネルギー価格の高騰のダメージを日米よりもより直接的に受けています。

7月1日に発表された6月の消費者物価指数の速報値は前年同月比8.6%上昇、日本の2.2%と比べてかなり大きいことがわかります。なお、アメリカはさらに高い9.1%上昇しています。

 

政策金利差を受けて、ユーロ安となっています。7月13日には20年ぶりに1ユーロ=1ドルとユーロとドルが等価となりました。

 

 

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一方で日本銀行の黒田総裁は、金融政策決定会合後の21日に記者会見で、利上げを引き上げるつもりはまったくないと発言しました。金利の引き上げの経済へのダメージが大きいと述べています。金利を引き上げた方がよいか、維持の方がよいのか、正直私自身はわかりません。ただ、金利を引き上げると、経営体力のない中小企業はさらに経営状況が悪化することが想像はできます。

中小企業の従業員数は全体の7割と言われていますので、確かに悪影響も大きい様にも思えますが。。。

 

さてEUに話を戻します。EUには南北格差という問題があります。EU域内は単一通貨ユーロを共通の通貨として行っているため、各国が自国の経済状況に合わせた金融政策を行うというわけには行きません。このため、ドイツ、フランスを中心として経済基盤の強い北ヨーロッパと、スペインやイタリア、ギリシャといった経済基盤が弱い南ヨーロッパでは今回の金利引き上げに対する影響度が異なります。

これら南ヨーロッパの国々が利回り上昇に耐えられず、国債価格の急落するリスクがあり、国家財政が破綻する懸念が生じます。ECBは南ヨーロッパ諸国の国債の買い支えを行うことも発表している様ですが、共通通貨導入の苦しさがよくわかる展開となってきました。